静岡県熱海市在住の人気ガーデナー・水谷昭美さん。定期誌『毎日が発見』の連載「暮らしの晴れ間」から、季節を感じ、日々の暮らしをゆったりと楽しむ水谷さんの暮らしをご紹介します。今回は、「秋の空気を感じたら...」をお届けします。
艶々光る秋色のいちじく。果肉の優しい食感とほのかな甘味も好き。
秋の空気を感じたら...
目が覚めたら、最初に窓を開けます。
9月なら、ひんやりとした風が頰を撫でて、ああ、秋が始まったなと分かる...。
日中の日差しは強くても朝の空気は昨日とは違っていて、気持ちも一緒に新しくなります。
残暑が過ぎてしばらくすれば、庭の隅には気の早い菊がちらほらと。
見つけたら、手折って飾り、部屋も小さな季節の模様替え。
裏山で、雛たちが巣立った後の小鳥の巣を見つけました。
私の小鳥の巣コレクション。今回の巣も両手で包むようにそっと部屋に運び、仲間入りさせました。
明かりのように花を並べて
3色の菊を3つの御猪口に生けました。菊は日が短くなると花を咲かせる短日植物。我が家の庭でも、日に当たる時間が短く涼しい環境で育てた苗からぽつりぽつりと咲き始めます。不老長寿を願う9月9日の菊の節句(重陽の節句)が過ぎてからでも、こうして飾れば味わい深いものです。
【9月の定番料理】
菊花のきゅうり和え
花は「もってのほか」という名前の紫色の食用菊です。まず、花びらをガクから摘み、さっと湯通し。きゅうりは輪切りにして少量の塩をふり、手で軽くもみます。できたら2つを合
わせ、薄口しょうゆと酢を各適量合わせた調味液で和えてできあがり。花びらを散らした日本酒も添えて。
なすのみそ漬け
この時季のおいしいなすで作る漬物です。なすは全体に薄く塩をまぶし、まな板の上でころがしてしんなりさせてから、水分が程よく残る程度に軽く手で絞ります。下準備ができたら、適量のみりんを加えたみそ(私は信州みそと八丁みそを混ぜます)に漬けるだけ。次の日にみそ床から出せばフレッシュな浅漬けに。時間を置き、味がしみ込んでから食べても。
取材・文/飯田充代 撮影/斎藤大地