コロナ禍以降、子どもと過ごす時間が増えている方が多いのではないでしょうか。そこで、絵本の読み方や選び方、読み聞かせの効果などについて理解を深めて、子どもと充実した時間を過ごしませんか? 書籍「子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方 選び方」(パイ インターナショナル)から、子どもに絵本をもっと読んであげたくなる豆知識を紹介します。
※本記事は仲宗根 敦子著の書籍『子どもの脳と心がぐんぐん育つ 絵本の読み方 選び方』から一部抜粋・編集しました。
絵本が子どものIQを上げる理由
ほとんどのママたちは、子どもに絵本を楽しんでもらいたいと願っていると思いますが、「子どもが絵本に集中しません」「子どもが絵本に興味を示しません」という声をよく耳にします。
ところが、読み方のポイントを変えるだけで「絵本に集中するようになった」「親子で絵本を楽しめるようになった」「親がびっくりするような表現をするようになった」「言葉で自分の気持ちをしっかりと伝えてくれる」という嬉しい声をいただいています。
絵本に親しむことで、親子のコミュニケーションがとれるだけでなく、自然に子どものIQが上がるのです。
それなら毎日、絵本を読みたくなり、もっと日常に絵本を取り入れていきたくなりますよね。
IQとは知能検査の結果を数値で表したものです。
平均を「100」という数字にして、その数字より高いか否か、を確認します。
幼少期にIQ121以上になると、知覚、随意運動、思考、推理、記憶など、脳の高次機能を司る大脳新皮質(※)が厚くなり、高いIQが継続して育まれていく可能性が高くなります。
では、IQが高いとはどのような人でしょうか?
IQが高い人は「抽象的な思考」ができる人とも言えます。
抽象的の反対は具体的です。
まずスポーツの例で説明してみますね。
例えばサッカーや野球、バレーボール、卓球、バスケットボール、このように、具体的なものには一つひとつ固有の名前がついています。
これに対し、抽象度が上がるということは、具体的なものをグループ化して共通点を見つけ出すということです。
サッカー、野球などの球技の共通点は球を使うことなので「球技」のグループにまとめられます。
このようなグループはほかに、「陸上(競技)」(=足や手を使う)、「水泳」(=水の中を泳ぐ)があります。
グループの共通点を見つけ、さらにまとめる(=抽象度が高くなる)と、「運動/スポーツ」となります。
このようにあるものの共通点を見出し、グループ化する(=まとめあげる)能力を抽象能力と言います。
一般的にこの能力が高いと「頭がいい」と言われます。
それでは、次に抽象思考について見てみましょう。
抽象思考とは、物事を高い視点から見ることができる思考のことです。
サッカーを例にします。
自分の視点だと、ちゃんと走れるか、ボールを思ったところに蹴ることができるか、などの思考となります。
一つ高い視点ですと、相手をドリブルで抜く時、相手の動きを見極め逆方向に動くなど、相手を中心とした思考をします。
さらにもう一つ高い視点から物事を見ると、フィールド全体を上空から見るような目を持ち、どこにパスを出したら効果的なのかを俯瞰して、チーム全体でゴールを決める思考をします。
次に算数に当てはめて考えてみます。
例えば、
A.かけ算を速く解くこと。
B.方程式を解くこと。
A・B において、抽象度の高さを比べた場合、どちらの方が抽象度は高いと言えるでしょうか?
答えは、Bです。
限られた範囲を何度も何度も繰り返す勉強で、基礎学力を定着させるには、Aの力を養う勉強法が役に立つのですが、この勉強法に留まっていては、抽象度は上がらないのです。
視点を高く持つことは、幼少期でも絵本から学べます。
子どもは、みんな最初は「自分が中心」で、自己中心的な考え方しかできません。
絵本から言葉を理解するようになり、そして様々なストーリーから他者の存在を認知し、他者の気持ちや背景を思考することができるようになるのです。
いつまでも「自分さえ良ければ」と自己中心的な思考しかできないと、学校などの社会生活においても人と良いコミュニケーションをとることができません。
子どもはみんな個性や才能を持っています。
それを生かすためには、全体の中の個を俯瞰して見られる抽象的な思考(高い視点)が大切になります。
【まとめ】
幼少期にIQ121になると、高いIQが継続して育まれていく。
読み聞かせの刺激が大脳新皮質を厚くし、IQを高くする。
絵本を読み「視点を高く」することでIQが高い人特有の、抽象思考が身につく。