ハードルが高い大人世代の「片付け」。今後の暮らしのために、いま整理することが大切です。リバウンドせずもう一生散らからない片付け術で、モノを厳選し、暮らしに余裕を持たせましょう。今回は、片づけアドバイザー石阪京子(いしざか・きょうこ)さんに「片づけを成功させるための課題『視点を変えること』」について教えてもらいました。
【Before】
●中身を「全出し」する
クローゼットの中身を一度全て出し、不要なモノは処分。7割収納を目指して。
●グッズは色と形をそろえる
収納するための入れ物は色をそろえるとスッキリ見せが叶う。同じメーカーのものを選ぶと統一感が出るので試してみて。
●洋服は色と柄で分ける
服の色や柄別に分けて並べると、見た目がスッキリし、使いやすさがアップ。ハンガーをそろえることも、片付けを成功させるコツ。
【After】
石阪さんおすすめ
軽くて掛けやすい「すべらないランドリーハンガー」。ネットなどの通販で購入が可能。
片付けは人のためではなく自分のために行うもの
さまざまな家事を行う中、人手が必要な「片付け」はついつい後回しにしてしまうもの。
結果、家が少しずつたまっていったモノであふれかえっているという方も多いことでしょう。
「片付けは誰かのためではなく、自分の幸せのためにすること。余裕を持って暮らしたい大人世代にこそ、片付けが必要です。片付けられないという悩みを抱えている方の多くは心の優しい方。あなたの笑顔を守るためにも、おうちを片付けて幸せを手に入れて」と石阪さん。
心に余裕を持った暮らしを送るために、石阪流メソッドを学んでみましょう。
大人世代にこそ「片付け」が必要です
- 負の遺産を残さない
- 思わぬ"けが"の予防
- 未来のためのスペースづくり
捨てられずに増えていくモノは、いつしか私たちの暮らしを脅かしてしまうもの。
「いつか片付ける」なんて思っていると負の遺産として残り、子どもたちや周囲に迷惑をかけてしまう可能性があります。
体が動くいまのうちに一念発起して、おうちの中を片付けてみて。
「片付け」にはこんなメリットも
- お金が貯まる
- 自分の時間が増える
- 決断力が上がる
- 家族の仲が良くなる
「家の中が片付くと、余分な掃除をする時間が減るとともに、ストレスのない健康的な暮らしが手に入ります。居心地の良い部屋になれば、自然と家族が集まる家に。外出も減り、お金が貯まるようになります」(石阪さん)
片付け術:「他人の目線」で家を見直す
【STEP 1】そのスペースは誰のもの?
石阪流メソッドで最初に行うのが、家族が使う「共有スペース」と個別に使う「個人スペース」を明確に分けること。
「個人のモノは必ず個人スペースに置く」というルールを守るだけで、片付けがはかどります。
家族みんなが使う場所は、家族が使うモノだけを配置。余分な家具や荷物を手放すだけで、余裕のある共有スペースが生まれ、家族みんなが暮らしやすい家に生まれ変わります。
家族それぞれが使う部屋やスペースには、個人の私物だけを配置。自分でモノを管理するようになると「片付ける」意識が生まれます。
使いやすさを考えながら家全体の使い方を見直す
いくつもの住まいを片付けてきた石阪さんは、片付けを成功させるためにクリアすべき2つの課題に気付いたのだそう。
「1つめは、視点を変えること。住まいや自分自身のスタイルを俯瞰し、各部屋の役割やゾーンを決めましょう。また、未来を見越して片付けを考えることも大切。人生は変化するものなので、いつまでも同じ環境にいるのはおかしなこと。不要になったモノを手放し環境を変えることも必要です。2つめは『捨てるだけ』の片付けではダメだということ。何もない部屋ではなく、いざというときに備えることができる部屋にすることが必要です。『備えながら、スッキリ暮らせる片付け方』を身に付けて、来るべき未来に備えましょう」(石阪さん)
【STEP2】「見ないフリ」の場所はない?
片付ける前に間取りを書き出し、どのように使うか考えるとスムーズ。
巣立った子どもたちの部屋を、そのまま残していたり物置部屋にしていたり、そんなもったいない部屋の使い方をしているなら、いますぐ改善を。
[3LDK例]
子ども部屋や物置部屋など、部屋や収納の状態を全て書き出し、現状をチェックして。
↓
使っていない部屋や収納は片付ける対象に。夫婦2人で使えるスペースが広がります。
【STEP3】家族が片付けを手伝う「魔法の言葉」
家の中を片付けるためには、家族の協力が必要です。
非協力的な家族の重い腰を上げさせるために効果的な言葉を紹介。
夫婦だけでは心もとない場合は、家を出ている家族に声を掛け、手伝ってもらいましょう。
◆夫への声掛け例
「あなたのスペースを作ってあげたい」
「大切なモノは捨てなくていいから」
「不用品を売ったお金はお小遣いにしていいよ」
「散らかっているホテルときれいなホテル、どっちに泊まりたい?」
「誕生日プレゼントは何もいらないから、 片付けを一緒にしてほしい」
取材・文/和栗 恵 撮影/米山典子 イラスト/オガワナホ