【カムカムエヴリバディ】誰が予想できた? 意外な「3人の立役者」による"脱ロミジュリ"展開

毎日の生活にドキドキやわくわく、そしてホロリなど様々な感情を届けてくれるNHK連続テレビ小説(通称朝ドラ)。毎日が発見ネットではエンタメライターの田幸和歌子さんに、楽しみ方や豆知識を語っていただく連載を毎週お届けしています。今週は「意外だった3人の立役者」について。あなたはどのように観ましたか?

※本記事にはネタバレが含まれています。

【前回】朝ドラ理想の初恋相手? 松村北斗さん演じる雉真稔の「昭和の正統派王子」感

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ラジオ英語会話を軸に、朝ドラ史上初の3世代ヒロインが駆け抜けた100年の人生を描く、藤本有紀脚本のNHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の3週目。

この展開を予想できた人が、はたしてどれだけいるだろうか。
1942年(昭和17年)、ヒロイン・橘安子(上白石萌音)の日々の暮らしにも戦争が入りこむ中、兄・算太(濱田岳)が出征した。

「たちばな」では材料が入手できないことから和菓子が作れなくなり、その一方で雉島繊維では軍服の生産が追い付かず、工場拡大の資金繰りのために千吉(段田安則)は長男・稔(松村北斗) と銀行の頭取の娘との政略結婚を進めていた。
稔は自分には心に決めた人がいると両親に伝えるが、両親は猛反対。

母・美都里(YOU)はたちばなに和菓子を注文し、配達に来た安子に金を渡して、二度と稔に近づくなと言う。

それを知った稔は激怒するが、千吉に自分の甘さを指摘され、安子も身分の違いを考え、自ら身を引くのだった。

奇しくもそれは稔への恋心から始まったラジオの英語会話講座が、戦争の影響で終了した日。

そして、学徒出陣により、稔が出征することになり、安子を溺愛していた祖父・杵太郎(大和田伸也)が安子の幸せを願いながらこの世を去る。
ここまでは「ロミオとジュリエット」的な王道の悲しい初恋の物語である。

しかし、そこから怒涛の展開で視聴者の涙を搾り取ってくるのが、『カムカム~』、そして藤本有紀脚本だ。
立役者の一人は、勇(村上虹郎)。稔の縁談を知った勇は稔のもとに行き、稔が恋敵だから安子のことをあきらめたのだと訴える。

さらに父には、家のための結婚は自分がするから、稔と安子の結婚を認めてやれと言い、せめて安子に会ってほしい、会えばわかると懇願する。
もう一人の立役者は、安子の父・金太(甲本雅裕)。

借金で迷惑をかける長男・算太を勘当した今、「たちばな」には安子しかいないとして稔との交際に反対していたが、安子の姿を店の窓から見つめる稔に声をかけ、会ってやってくれと頭を下げる。
そしてもう一人は、千吉だ。

会社を守らなければいけない立場の千吉は、身分をあかさず「たちばな」を訪ねておはぎを注文する。

店番をしていた安子は、おはぎが作れないことを説明するが、千吉のどこか気落ちした様子を見て、祖父の供養のためにとっておいた小豆と砂糖で作った「お汁粉」を出すのだった。
そんな千吉が雉島繊維の社長だと気づいた金太は、杵太郎に雉島繊維の足袋を履かせて看取ったことや、算太を許せぬまま、出征を見送ってあげなかった後悔などを話す。
これは千吉にとって、商いの出発点が足袋だったこととともに、稔の幸せを願う父としての自分を思い出させるものでもあった。
そこから出征する前に祝言をあげるべく帰省した稔を連れ、向かったのは、神社。

毎日、稔の無事を祈願する安子との結婚を認めるためだ。
朝ドラでは週の終わりにヒロインの結婚式が描かれることが多いが、このサプライズの急展開の見事なこと。

しかも、それが二人を大事に思う弟や父など、みんなによってもたらされた幸せだという巧い構成に、ただただ呻らされる第3週だった。

文/田幸和歌子

 

田幸和歌子(たこう・わかこ)
1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経て、フリーランスのライターに。ドラマコラムをweb媒体などで執筆するほか、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などで医療、芸能、教育関係の取材や著名人インタビューなどを行う。Yahoo!のエンタメ公式コメンテーター。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など。

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