「一日一個のりんごは医者を遠ざける」などといわれてきたように、健康効果の高い果物として知られるりんご。旬のいまは、栄養価とおいしさが増し、値段もお手頃。りんご酢にすれば、毎日無理なく食卓に取り入れられます。今回は、管理栄養士で料理研究家の村上祥子さんに「りんごの栄養効果とリンゴ酢の作り方」について教えてもらいました。
「りんごが赤くなると、医者が青くなる」「一日一個のりんごは医者を遠ざける」などといわれてきたのは、健康効果の高さゆえ。
有史以前から食用にされてきたりんごは、現在では数千以上の品種があるとか!?
旬を迎えて栄養価とおいしさが増し、価格もお手頃になってきます。
りんご酢などの保存食や調味料にしておけば、毎日無理なく食卓にりんごを取り入れられます。
●食物繊維のペクチンが豊富
りんごの皮に多いペクチンは、水に溶けるとゼリー状になる食物繊維です。
水分の少ない便をやわらかくして排便を促し、おなかがゆるいときは腸壁を守ります。
また、コレステロール値の上昇を抑えるので、動脈硬化の予防も期待できます。
腸内の善玉菌の餌となって腸内環境も整えるなど、腸に良い働きをします。
アップルペクチンとも呼ばれます。
●りんごポリフェノール
クロロゲン酸、タンニン、ケルセチンなどを総称して"りんごポリフェノール"と呼び、高い抗酸化効果、アンチエイジング効果が期待できます。
りんごを切ったときに切り口が茶色く変色することを褐変と呼び、りんごポリフェノールと空気が反応して起こる現象です。
ポリフェノールは、さまざまな病気を引き起こす活性酸素を除去する働きが高いことで知られています。
●カリウムで高血圧予防
カリウムは体内の余分な塩分を排出する働きがあります。
このため高血圧の予防・改善に効果があり、普段の食生活で塩分摂取の多い方は積極的に摂りたい成分です。
りんごにはカリウムが豊富なので、高血圧が気になる方には特におすすめの果物です。
また、むくみの改善にも効果を発揮します。
●有機酸が疲労回復促進
りんごに含まれるクエン酸やリンゴ酸といった有機酸は、疲労回復を早め、疲労が蓄積するのを抑制するのに役立ちます。
●皮ごと食べるのが理想
ペクチンやりんごポリフェノールといったりんご特有ともいえる成分は、とくに皮に豊富に含まれているものが多いです。
●皮がツヤツヤは熟した証
りんごの皮がワックスを塗ったようにツヤツヤ、ベトベトになることがありますが、これは水分が蒸発して乾燥しないようにりんごに含まれる脂肪酸が表面に出てきて、りんご自らを守っているからです。
ツヤツヤはおいしく熟している証拠です。
●選び方と保存法
皮にハリがあり、ズシリと重量感があるものがみずみずしいりんごです。
また軸が太いものも良品です。
日持ちの良い果物ですが、保存するときは乾燥しないようにビニール袋に入れてから、冷蔵庫の野菜室で保存します。
風味豊か
りんご酢の作り方
材料(できあがり400g)
りんご...約1/2個(100g)
氷砂糖...100g
酢...200ml
作り方
(1)りんごはよく洗ってペーパータオルで水けを取り、4等分して芯を除き、皮ごと
2mm幅のイチョウ切りにする。
(2)瓶に氷砂糖と(1)を入れ、酢を注ぐ。
(3)ラップをふんわり丸めて落としぶた代わりに表面にのせる。
(4)電子レンジ600Wで30秒加熱する。取り出してふたをして常温に12時間おいたらできあがり。ふたが金属製のときは、ラップを1枚挟むと錆止めになる。
●開封前は常温で1年保存できる。開封後は冷蔵庫へ。
●健康効果を得るための摂取量の目安は、1日当たり大さじ2~3杯。
●そのまま飲んでもよいが、水やお湯で薄めてもよい。朝、昼、晩の食事の前に飲むと効果的。
※保存容器は清潔で完全に乾いたものを利用する。
りんご酢の健康効果
大さじ1あたり17kcal/塩分0g
1.血糖値の安定
ペクチンと酢の働きで急激な血糖値の上昇を抑えます。
2.コレステロールの排出
ペクチンはコレステロールの吸収を阻害し、体外へと排出します。
3.血圧の調整
カリウムは塩分を排出し、血管の収縮を抑えて血圧低下へ導きます。また、りんごポリフェノールはLDLコレステロールの増加を抑えるので血流改善が期待できます。
4.腸内環境の活性化
ペクチンは腸内の善玉菌の餌になり、さらに酢に含まれる酢酸にも腸内環境を整える働きがあります。
5.免疫力の向上
りんごポリフェノールで白血球の働きが活発になり、免疫力の向上につながります。
6.老化の予防
腸内環境が整うとともに、抗酸化作用で活性酸素が無害化されるとシミ・シワが予防でき、美肌が期待できます。
7.脂肪の減少
酢に含まれるクエン酸やアミノ酸はエネルギー代謝を活性化し、りんごポリフェノールは脂肪分が腸で吸収されることを防ぎ、排出する働きがあります。