不幸は無意識から始まる・・・誰も幸せになれない「人間関係ゲーム」とは/イヤな人間関係(1)

ご近所や家族、パートナーや職場の人間関係に、もううんざり...。そんなあなたに贈りたいのが、臨床心理士の高品孝之さんの著書『イヤな人間関係から抜け出す本』(あさ出版)。「人間関係はRPG(ロールプレイングゲーム)。ルールを知り、役割をうまく演じれば対応できる」という高品さん考案のトラブル攻略法を厳選して、連載形式でお届けします。

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ゲームの3つの特徴を理解する

人間関係のゲームには、必ず仕掛ける人(仕掛け人)と、仕掛けられる人(カモ)がいます。

厄介なことに、仕掛け人もカモも、無意識のうちにゲームに陥っていることがほとんどです。

そのため、ゲームを避けて生きていくのは不可能に近いでしょう。

また、ゲームには次の3つの厄介な特徴があります。

1.誰も幸せな気持ちにならない(双方が嫌な感情を味わう)

人間関係においてゲームがはじまると最後、必ずお互いが不快な思いをし、心が傷つきます。

ゲームの仕掛け人にも、嫌な思いが湧き上がります。

攻撃を仕掛けているのにもかかわらず、スッキリしないのはそのためです。

攻撃するほうと、攻撃されるほうの双方に嫌悪感や怒り、悲しみなど、嫌な感情が常に滞在するため、なかなか解決に至れないのです。

2.一度はじまると何度も繰り返してしまう(同じパターンの行動が繰り返される)

ゲームは、やりとりがパターン化し、お互いが嫌な思いをするとわかっているのに永続的に繰り返されます。

嫁姑争いが毎日繰り返され、会社や学校での嫌がらせが日々続くのは、本人の意思だけでなく、ゲームの性質によるものなのです。

トラブルを深刻化させないためには、いかに早い段階でゲームを止めるかが重要です。

3.相手の言葉、態度から気持ちを推察しようとしても意味がない(言葉や態度の裏にまったく違う意図が隠れている)

ゲームがはじまる時、仕掛け人には、仕掛けるだけの理由があります。

ところが、その理由を、仕掛け人本人もはっきりと認識できていないため、もしくはそれをごまかすための言動をとるため、カモには、なぜ相手が攻撃してくるのか(仕掛けてくるのか)がわからず、正しい対応がとりにくいのです。

さらに厄介なことに、カモにも仕掛けられるだけの理由があります。

この場合は、カモに意図があるわけではないため、なぜゲームに巻き込まれているのかが理解できません。

結果、どんどん関係がこじれて深刻化してしまうのです。

相手の言動を素直に聞いて、人間関係を改善すべく真摯に対応しても関係がよくならないのはそのためです。

これらの3つの特徴によって、ゲームが起きるとイヤな人間関係に陥ってしまうのです。

ゲームは否定の「基本的構え」で起こる

自分や他人を肯定したり、否定したりする心の在り方を、交流分析(※)では「基本的構え」といいます。

※心理学の一分野。自分の心が安らかになり、人間と人間の交流(関係)がスムーズになるようにパターンやルールを明らかにしたもの。

ゲームでは、自分や他人を否定する心の在り方が、ゲームを引き起こします。

自分を否定するか、他人を否定するか、どちらの立場にあるかで、ゲームの内容も変わります。

では、それぞれの場合を見ていきましょう。

1.自分を否定する

自虐的なゲームを繰り返します。

「自虐的」というのは、自分の存在をくだらない、大したことないと周囲の人に見せる態度をいいます。

自分で自分のことを否定しているだけなので、周りの人に影響を及ぼすこともないし、ましてやこれがゲームに発展するなんて......と思うかもしれません。

ですが、自虐的な人を見ると、人はなんとかしてやりたいと関わってきます。

つまり、自虐的になることで人間関係が生まれるのです。

「私、とても不幸なの。もうどうにもならない」と友人に言われたら、この不幸な友人をなんとかしてあげたいと思いますよね。

そのとたん、人間関係のゲームがはじまるのです。

この時、不幸な友人(仕掛け人)は、自虐的な態度を使って、相手に自分の行動を注目させ、相手が心配することで、相手をゲームに巻き込んでいきます。

これは、無意識であることがほとんどです。

こうして、ゲームは参加者の誰もが気づかないうちに進行していくというわけです。

2.他人を否定する

他人をやり込め、否定して、自分が優位に立とうとする態度です。

その最たるものが、いじめです。

この基本的構えは、乳幼児期に身につくと考えられています。

乳幼児期にどのように育てられたかによって、その性質は変わります(詳しく知りたい人は、「エリクソンの発達課題」の考え方を参考にするとよいでしょう)。

多かれ少なかれ、自分もしくは他人を否定する態度は、ほとんどの人が持っています。

つまり、誰もがゲームに陥る可能性があるということなのです。

気をつけるに越したことはないでしょう。

※取り上げている事例は、ゲームを理解しやすくするために、実際にあった事例をもとに筆者が考えたものです。どの事例も、状況が変われば、別のゲームが生じることがあります。あらかじめご承知おきください。

【まとめ読み】「イヤな人間関係から抜け出す本」記事リスト

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心理学の理論をもとにした10のゲーム。5章にわたって人間関係のルールとトラブル攻略法が解説されています

 

高品孝之(たかしな・たかゆき)
1960年北海道生まれ。臨床心理士。一級交流分析士。博士(教育学)。早稲田大学国文科卒業後、高校の教員になるも人間関係のトラブル解決の困難さを目の当たりにし、心理学を学ぶ。北海道大学大学院教育研究科博士後期課程を修了後、30年間、高校の現場で心理学的手法を用いて、生徒と生徒、生徒と親、親と親など、さまざまな人間関係のトラブルを解決してきた。

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『イヤな人間関係から抜け出す本』

(高品孝之/あさ出版)

他人を陥れたり、身内でごたごたしたり、人間関係のうんざりする状況…どうにかしたい! そんなときに使える心理学を基にした「トラブル回避術」を、身の回りでよくある人間関係のパターン別に解説してくれる攻略本。人間関係をゲームと捉えてうまく立ち回れば、意外とスムーズに解決するかも!

※この記事は『イヤな人間関係から抜け出す本』(高品孝之/あさ出版)からの抜粋です。
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