「どんな風に話すかで人生は変わる」と言うのは、全国で多数の講演を行う人材育成のプロ・永松茂久さん。そんな永松さんが会話のノウハウをまとめた著書『人は話し方が9割』(すばる舎)から、「好印象を与える会話のコツ」を抜粋してお届けします。
悩んでいる人にポジティブアドバイスはいらない
あなたは人から相談されることが多いほうでしょうか?
それとも少ないほうでしょうか?
いずれにしても人から相談を受けた時に、今から話すことを覚えておくと大変有効なので、ご紹介いたします。
相談に来る人というのは、結局のところ、「とにかく話を聞いてほしい」「自分のことをわかってほしい」「共感してほしい」という思いが強いのです。
実のところ、解決策を求めて相談に来ている人はほとんどいません。
また、相談事というのは、ポジティブ、ネガティブで分けると多くの場合ネガティブな要素が多い。
だからといって、「ダメだよ、そんなネガティブじゃ。ポジティブに考えようよ」と、ポジティブ論をすぐ持ち出すようなことはやめましょう。
その時点で、相談者はそれ以上あなたに話をしなくなります。
相手が求めていることは、「わかってほしい」「共感してほしい」であって、必ずしもプラス方向に転換したいと思っているわけではありません。
また、感情的にネガティブになっている時に、ポジティブ論を展開すると、「説教されているの?」と捉えてしまう人もいて、効果的ではありません。
つまり良かれと思って話をすればするほど、相手はあなたの思いとは逆方向に気持ちがいってしまうのです。
アドバイスする時は、意見を押しつけないよう慎重に
時には、相手があなたにアドバイスを求めてくることもあるでしょう。
その時は、あくまで客観的、かつ謙虚に応えることがベストです。
例えば、「絶対にこうすべきだよ!」ではなく、「これはあくまで私の一意見だけど......」「こんな考え方もあるんだと思って聞いてね」というところから始めると、相手の心にスッと言葉が入ります。
あくまで、結論を決めるのは相手です。
どんなにあなたが「こうすればいいのに」と思ったとしても、そこはグッとこらえましょう。
あなたの意見を押しつけすぎると、相手はあなたに対して感情的になってしまい、結果的にあなた自身が後悔することになってしまいます。
「これが正しい」は、相手にとっては押しつけに感じてしまうことも多いということを覚えておくといいと思います。
悩んでいる人は、あなたが側にいてくれるだけでいい
悩んでいる人と向き合った時に一番相手に寄り添う言葉。
それは、「一緒に考えよう」です。
解決策を提示するのではなく、共に悩み、共に考える。
これだけで相手にとっては、大きな勇気になります。
「つらかったわね。大変だったね。どうすればいいか一緒に考えましょう」
「お気持ち、わかるわ。しんどかったでしょう。どうしたら解決できるか一緒に考えますね」
こうした言葉がけによって心が落ち着いてくると、人は自然とポジティブな方向に話を運び始めます。
ポジティブな話が必要になるのはこのタイミングです。
谷を下り終えて、再び山を登り始める、この時に、あなたがそっと相手の背中を支えていく形が一番の応援になるのです。
【最初から読む】「否定しない空間」を作れば誰でも上手に話せる
人を動かす、会いたいと思わせる、嫌われないなど37の会話のコツを全4章で解説しています