「どんな風に話すかで人生は変わる」と言うのは、全国で多数の講演を行う人材育成のプロ・永松茂久さん。そんな永松さんが会話のノウハウをまとめた著書『人は話し方が9割』(すばる舎)から、「好印象を与える会話のコツ」を抜粋してお届けします。
人は勝手に楽しんでいる人に「巻き込まれたくなる」
社内やコミュニティ内でやりたいことがある時、周囲を巻き込もうという熱意が出すぎると、逆に人が集まらないという事態になることがあります。
アツい気持ちはあっても、自分優先で無理やり人を説得しにかかろうとすると、相手の気持ちは引いてしまいます。
そうはいっても、周りを説得しなければ、誰も協力してくれない。
そんな風に思うかもしれません。
でも実際には、説得するよりも、もっと効果的に人を巻き込める方法があります。
以前、こんな動画を見たことがあります。
人がたくさんいる広場で、突然、1人の男が音楽に合わせて踊り出します。
その男性を、怪訝な目で見つめる人たち。
見て見ぬ振りをして、足早に広場を後にする人もたくさんいます。
ところが、しばらくすると別の人が踊り始めます。
その後も1人、また1人と踊る人が増えていき、最終的に広場は、野外ダンスフロアさながらという状況になったのです。
最初は1人でも、楽しくしていると、自然と巻き込まれる人が増えていき、やがてそれは大きなムーブメントになる。
この動画には、「楽しそうな人には巻き込まれたくなる」という人間心理が、明確に現れています。
人を説得しにかかるのは、無理やりダンスに引き込もうとするようなもの。
そうではなく、こちらが勝手に楽しんで踊っていると自ら飛び込んでくる人がやってくる、そういう状況を作ればいいのです。
巻き込まれた人はあなたの「最強の協力者」になる
この方式だと、説得するという労力を使わなくていい上に、巻き込まれてくれる人たちの意欲も高くなります。
なぜなら、人は無理やり説得されて参加するよりも、「いいな」「楽しそうだな」と自ら参加したほうが、意欲高く取り組めるからです。
周囲の協力が必要なことでも、まずは自分がワクワクすること。
すると、必ず「何か手伝おうか?」と言い出してくれる人が現れるでしょう。
彼らこそ、自ら巻き込まれてくれた「最強の協力者」というわけです。
【最初から読む】「否定しない空間」を作れば誰でも上手に話せる
人を動かす、会いたいと思わせる、嫌われないなど37の会話のコツを全4章で解説しています