「どんな風に話すかで人生は変わる」と言うのは、全国で多数の講演を行う人材育成のプロ・永松茂久さん。そんな永松さんが会話のノウハウをまとめた著書『人は話し方が9割』(すばる舎)から、「好印象を与える会話のコツ」を抜粋してお届けします。
「肩書き」の前に「相手の名前」を覚える
初対面で名刺を交換した時、最初にどこを見るか――。
それによって、会話の弾み方やあなたの印象は変わります。
多くの人が、その人の会社の名前や肩書きに目を止めがちです。
しかし、最初に覚えてほしいのは、相手の会社でも肩書きでもなく、相手の名前です。
名前を起点にすると、初対面であっても会話が弾みやすいのです。
名前というものは、その人が生まれてからずっと共に生きてきたものです。
また、名前には、その人のご両親の思いが詰まっています。
ビジネスネームだとしても、その人自身が考え抜いてつけたもの。
思いが詰まっている点では変わりありません。
名刺とは、そんな大切な所有物を、一瞬で共有させてもらえる素晴らしいツールなのです。
相手の名前を繰り返し言うことで、頭にインプットする
まず大切なことは、初対面で名刺を受け取ったら、すぐにしまわないこと。
しまうとしても、相手の名前と字面をすべてインプットし、名前を起点に会話を広げてからにしましょう。
そしてもう1つ、うまくいく人は、初対面で名前を聞くと、すぐに相手の名前を呼び始めます。
例えば、こんな感じです。
「はじめまして。〇〇株式会社の田中と申します」
「はじめまして、〇〇(あなたの名前)と申します。田中さん、この会社の商品はよく使わせていただいています」
これはプライベートでも同じです。
例えばこんな感じです。
「はじめまして。野村千恵子と申します」
「よろしくお願いします。〇〇です。野村さんは普段お仲間さんからはなんて呼ばれているのですか?」
「よく『ちーさん』と呼ばれています」
「仲良くなりたいので、私も『ちーさん』と呼ばせてもらってもいいですか?」
このやりとりでは、自分が相手と仲良くしたいこと、そして仲間になりたいことをさらりと宣言しています。
「初対面でそこまで相手の懐に入るのはちょっと......」
と思われる方は、「野村さん」から始めてもかまいません。
つまり、ここで重要なことは、「名前を知ったら、すぐに名前で相手を呼び始めること」「できる限り相手の名前から会話を始めること」の2つです。
名前を覚える人は愛される
コミュニケーションの上手な人は、相手の名前を話の中にちりばめながら、相手との絶妙な距離感を作ることに長けています。
何度もお伝えしてきましたが、人は誰もが自分を一番大切に思っています。
その大切な自分の名前を頻繁に呼ばれると、自分自身が受け入れられた感じが伝わり、安心感や親近感を抱きやすいのです。
「名前から会話を広げる」
「名前を頻繁に呼ぶ」
相手の名前にフォーカスするのは、相手の存在そのものにフォーカスするのと同じことなのです。
いきなり面白い話や込み入った話などしなくても、相手の名前にフォーカスして話すだけで、初対面の相手とも一気に心理的距離を縮めることができます。
初対面で好印象を残した後は、2回目以降会った時に第一声で相手の名前を呼べば、あなたの好感度は飛躍的に上がります。
【最初から読む】「否定しない空間」を作れば誰でも上手に話せる
人を動かす、会いたいと思わせる、嫌われないなど37の会話のコツを全4章で解説しています