『今日も明日も新しいことに挑戦! 80代、ご機嫌に生きる人生の耕し方』 (ひろちゃん農園/KADOKAWA)第1回【全7回】
「失敗するのが楽しい」と話すのは、我流の農作業を配信するYouTubeチャンネルで人気者となった、「ひろちゃん農園」のひろちゃん。80代にして体は元気、心はさらに豊か。彼女のモットーは、「人ができることは、自分もできる」。「もう年だから」「失敗したら恥ずかしい」とブレーキをかけてしまいがちですが、ひろちゃんにとっては失敗さえも、人生を彩る大切な「遊び」なのです。そんな彼女の清々しい生き方のヒントが詰まった書籍が『今日も明日も新しいことに挑戦! 80代、ご機嫌に生きる人生の耕し方』(KADOKAWA)です。今回はこの本の中から、力強くも温かい、ひろちゃんのメッセージをお届けします。
※本記事はひろちゃん農園 (著)による書籍『今日も明日も新しいことに挑戦! 80代、ご機嫌に生きる人生の耕し方』から一部抜粋・編集しました。

家にはおらん。畑が家みたいなもん
長男が2020年の6月からやり始めたYouTubeチャンネル「ひろちゃん農園」では、私が家庭菜園で野菜を栽培している様子を映しています。
実家が兼業農家やったり、嫁いだ家でも田んぼで米を作ったりちょこちょこ野菜を作りよったけど、本格的に広い畑で野菜を作るようになったのは73歳のときです。それからずっと畑しごとに夢中で、80歳になりました。畑を始めた頃は、80歳まで畑をできたらいいかなと思っていましたが、80歳になった今は、畑しごとが好きやから、まだまだやりたい気持ちです。
テレビ、新聞の取材やYouTubeのコメント欄でも「畑しごとの何が楽しいですか?」「どうして、そんなにパワフルなのですか?」と聞かれるけど、「好きやからやりゆう(やっている)だけ」としか言えません。好きに理由らあ(なんて)ないがよ。
息子や孫に笑われるけど、ずっと畑のことを考えゆう(考えている)ね。
「あの野菜の葉っぱ、もうちょっと間引きした方がよう育つろか」
「お日さんの光を浴びすぎて、去年はミョウガを全滅さしてしもうたから、今年は早いうちに遮光シート被せちゃらな(被せてあげなくては)いかん(ダメだ)」
「土をフカフカにするには、何を混ぜちゃったらえいろう(良いかな)?」などと次から次へと頭の中にいろいろな思いが出てきます。そして、思い立ったらすぐに実行しとうなるき、ずっと畑におった方がえいわけです。
そんな感じやから、ほとんど家におりません。
朝は7時半頃に起きて、朝食を摂ったら、すぐ畑へ行きます。昼ぐらいまで作業をして、家へ帰って昼ごはんを食べたら、少し昼寝。夏はだいたい2~3時間ぐらい、横になっています。それから、また畑しごと。夜20時、21時頃まで畑におって、家へ帰ってから夕食を作って、食べて、お風呂へ入って、布団に入るのは0時を回っていることが多いです。布団の中で、「明日は畑で何しようかな」と考えるのもワクワクルンルンやき、ずっと楽しいです。
畑でやることはその日によってバラバラです。土を耕すこともあれば、肥料を与えることもあるし、種から育てた苗を土に植えることもあります。作物を収穫して良心市(無人販売所。高知県では無人販売所のことを「良心市」と呼ぶことが多い)に出す準備をすることもあります。
お昼休憩が終わってから夜遅くまで作業するのは、やりかけた仕事は最後までやり終えてから帰りたいから。途中でやめるのはできん性分なんです。
私は、目がよう見えるき、自分では暗い、見えにくいと思うこともありません。懐中電灯を照らしたら、夜遅うまで畑しごとはできます。
それで、夜に畑しごとをしていたら、あるとき、長男が「この灯りを使え」とLEDの投光器を持ってきてくれました。夜の工事現場で使われている照明器具です。「暗い中で作業して、転んだりしたらいかんろ。やめろ、言うてもやるき」とのことでした。畑の中で投光器のスイッチを入れたら、めちゃくちゃ明るくて、畑の様子がしっかりわかります。「こんな明るい中で作業するの、恥ずかしいわ。近所の人に、夜まで畑やりゆうと思われるき。私は見えちゅうき、使わんでもいける」と言いましたが、心配かけてもいかんき、使わしてもらっています。確かに、種まきなどの細かい作業にはちょうどいい明るさです。
昼ごはんと夜ごはんの間がだいぶ開くので、「お腹が空きませんか?」とびっくりされますが、集中してやっていると、食べることも忘れてしまいます。そうは言うても、飲まず食わずということもなくて、畑にあるびわなどの果物や野菜をかじることもあります。
とにかく、畑中心の毎日が楽しくてしょうがない。家にいるのは休憩しているときだけで、私にとっては畑が家みたいなもんです。






