インフルエンザは「発症前に防ぐ」という新しい選択。オンライン診療でできる「予防投与」とは

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今シーズンのインフルエンザは流行の長期化により、「いつ、どこで感染するかわからない」という不安が広がりました。基本的な対策を徹底しても防ぎきれない中で、いま注目されているのが「発症前に防ぐ」という新しい考え方です。本記事では、抗インフルエンザ薬による「予防投与」と「オンライン診療」という新たな選択肢について、呼吸器内科専門医・総合内科専門医の山口 彩先生、オンライン診療サービス「おうち病院」を運営する株式会社アナムネ代表取締役・菅原康之さんの解説とともに紹介します。

 

長引くインフルエンザ流行...「防ぎきれない」不安の正体

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今シーズンのインフルエンザは、これまでの常識が通用しない異例の流行となりました。呼吸器内科専門医の山口 彩先生によると、流行の始まりが早く、ワクチンの想定をすり抜ける変異株の影響もあり、かつてない規模に広がりました。さらに、A型の流行後すぐにB型が広がるなど流行が長引き、家族が次々と感染し、1カ月近く誰かが寝込んでいるといったケースも珍しくありませんでした。

「インフルエンザは、もはや冬の一時期だけ気をつければいい病気ではなくなっています。ワクチン接種や手洗い、マスクといった基本的な対策はもちろん大切ですが、それでも感染を完全に防ぐことは難しいのが現実です。実際、感染対策を徹底している医療現場でも広がることがあります。だからこそ、かかってから対処するだけでなく、"ウイルスに触れた後に発症を防ぐ"という考え方も選択肢の一つとなってきています。その一つが、抗インフルエンザ薬を使った予防投与です」(山口先生)

あわせて、家庭内での感染対策も欠かせません。山口先生は「家庭内での感染を防ぐためには、生活空間を分けたり、ドアノブやスイッチなど共用部分をこまめに消毒したりすることも大切です。看病する人を一人に決めて、部屋を出たらすぐ手洗い・うがいをする。そうした積み重ねが広がりを防ぎます」とアドバイスします。

「発症前に防ぐ」という新しい選択肢――予防投与とは?

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予防投与とは、インフルエンザにかかっている人と接触した後、症状が出る前に薬を服用し、ウイルスが増えるのを抑えて発症を防ぐ方法です。使われるのは、タミフルやゾフルーザなど、ふだんの治療に使われるものと同じ薬です。ここで押さえておきたいのが、ワクチンとの違いです。

「ワクチンは体の中に免疫をつくり、重症化を防ぐことが主な目的で、効果は数カ月続きます。一方、予防投与はウイルスの増殖そのものを抑えて発症を防ぐもので、効果があるのは服用している期間、だいたい10日間ほどです。長期的に守るワクチンに対して、予防投与は"いま目の前のリスクを乗り切るための方法"と考えると分かりやすいでしょう」(山口先生)

従来、この予防投与は特定の場面で活用されてきました。

「もともとは、高齢者施設での集団感染対策や、重症化リスクの高い方を守るために使われてきました。ぜんそくや心臓の病気、糖尿病、腎臓の機能低下といった持病がある方や、免疫力が弱くなっている高齢の方などが対象になります」(山口先生)

一方、最近は「生活を守るため」に利用されるケースも増えています。受験や重要な仕事など、「どうしても倒れられない事情」がある場合です。

「実際の現場では、家族の中で感染が広がったことをきっかけに相談されるケースもあります。たとえば、共働き家庭で"自分まで倒れたら家のことが回らなくなる"という理由で、お父さんが予防投与を受けたこともありました」(山口先生)

なお、予防投与は健康保険が使えない自費診療で、費用は診察代と薬代を合わせて1万円前後が目安です。発症を防ぐ効果は7〜8割とされますが、100%防げるわけではなく、副作用として吐き気や下痢、頭痛などが起こる可能性もあります。

 

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山口 彩先生

呼吸器内科専門医。総合内科専門医。2008年医学部卒業。初期研修終了後は呼吸器内科専門医として大学病院で勤務。14歳と10歳の2児の母でもある。

 

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菅原康之さん

株式会社アナムネ代表取締役。ビデオ通話で診察から薬の処方まで行えるオンライン診療サービス「おうち病院」事業の開発・運営を手掛ける。

 

 

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