恋愛における男女の「認識の違い」を描いた漫画『先輩は綺麗な人だった』。SNSに投稿するなり10万いいね! を獲得した本作のリメイク版が公開され、人気を集めています。作者の理系女ちゃん(@rikejo_chan)さんにお話を伺いました。
■「恋する側」と「恋される側」の温度差に...
とある職場を舞台に、男性新入社員が先輩に恋をする姿を描いた本作。前半は、男性の視点から、まっすぐに先輩のことを想う様子が描かれます。
しかし後半、女性視点に切り替わると、物語の雰囲気はガラリ。前半では爽やかな好青年のような見た目で描かれていた後輩でしたが、先輩視点では小太りで暗い雰囲気に変わっています。
■後輩の盲目的な恋が暴走...彼の恋心が「怖い」
先輩への恋心を募らせる後輩は盲目的に暴走。自分と先輩は相思相愛であると確信し、しつこく連絡をしたり、プレゼントを送ったり、猛アピールを続けます。
いっぽう、先輩は後輩からの好意を「怖い」と感じるように。何度無視しても続く後輩からの連絡や誘いに恐怖を感じ、逃げるように距離を置くのでした。
視点の切り替えによって発覚した先輩と後輩の認識のズレ。事実は1つ、真実は人の数だけ...という話がありますが、今回の場合はどちらが「正しい」のでしょうか? 作者・理系女ちゃん(@rikejo_chan)さんにお話を伺いました。
ーー男性視点から女性視点に変わったとき、女性にとっての「真実」はまったく別物であ
ったことが分かります。やはり女性視点の「真実」が正しいのでしょうか?
ハラスメントをしたという意味では社会的に男性に非があるのは間違いないでしょう。ま
た、より正確に事実を認識しているのも本作では女性でしょう。
しかし、人が覚えていられる記憶には限界があります。過去を振り返る時に、ポジティブ
な印象を持っている相手はポジティブなエピソードを思い出しやすいし、ネガティブな印象を持っている人はネガティブなエピソードが思い浮かびやすいでしょう。
しかし、自分にとってネガティブな印象の人が常に自分にとってネガティブなことをし続けてきたかというと必ずしもそうではないと思います。また、同じ出来事に対しても人(見方)によって捉え方は様々です。あくまでも心の声である以上、本人にとってはどちらも「正しい」のだと思います。
それぞれの視点から、それぞれにとっての「真実」のみが描かれている本作。後輩が圧倒的な「悪」のようにも見えますが、もしかしたら先輩にとっての「真実」が「事実」とは限らない...この余白が本作の魅力の1つなのかもしれません。