マウントの高等テクニック「自虐マウンティング」。一流ビジネスパーソンに必須のスキルである理由

自虐マウンティング

自虐マウンティングとは、自分を卑下する言動を通じて、相手に対する優位性をアピールしようとするコミュニケーション手法のこと。一見すると自虐的な態度を取っているように見えるが、実際にはそれを通じて自身のほうが立場的に上であることを示そうとすることが特徴である。

【模範例文】
「年収1億円稼いでも、ほとんど税金で召し上げられるわけで、国のためにボランティアで働かされているようなもんだよ。もちろん、海外移住を考えたことは何度もあるけど、自分は日本が好きだし、この国の未来に貢献したい気持ちも強いからね」

(解説)「国のためにボランティアで働かされている」と自虐しながら、自身の年収の高さをさりげなく見せつけることに成功している。サラリーマンの間では額面年収が「ビジネス戦闘力」と捉えられることが多く、こうした「年収マウンティング」がおこなわれがちである。

【模範例文】
「昨年発売された私の3冊目の書籍『○○○』の一文が○○大学の現代文の試験問題に使われているようです。このこと自体はとてもうれしいのですが、著者なのに肝心の答えがわからないという......。一体どうしたもんですかねえ」

(解説)書籍の著者であるという事実だけでもマウント的には相当パワフルだが、それに加えて、「自身の著作が大学入試の試験問題に使用された」ことを自虐的な表現とともに示すことで、自分が特別な立場にあることをアピールすることに成功している。

【模範例文】
「2日で23ミーティング......会議ばかりで自由な時間が全然ない......毎日カレンダーにバンバン会議がセットされてしまう。部下が15人にもなると定例の1on1も増えるし、自分の処理能力の低さが本当に嫌になる。みなさんはどうやって対処されていますか?」

(解説)「自分の処理能力の低さが本当に嫌になる」と自虐気味に嘆きながら、社内の人々から頼りにされている自身の姿をうまくアピールしている。マネジメントしている部下の人数の多さをさりげなく見せつけている点も隠れたポイントである。

【模範例文】
「ヨーロッパ出張の時差ボケが抜ける間もなく、役員からロサンゼルスへの帯同を打診され、なかなか大変な状況に陥っています。もうオジサンですし、この年齢になると体力の回復にも時間がかかります。みなさんは、どうやって体調管理されていますか?」

(解説)自分のことを「オジサン」「体力の回復にも時間がかかります」と自虐しつつも、役員から頼りにされている姿を「大変な状況に陥っている」と嘆きながら見せつけることに成功している。嫌味っぽくならないように、周囲にアドバイスを求める形で発言を締めくくっている点も巧みなポイントである。

【模範例文】
「友人のススメでビットコイン投資を始めてみたのですが、昨日ひさしぶりに口座を見てみたら、『1億円の含み損』で吐きそうです。自分の投資センスのなさが本当に嫌になります......」

(解説)「自分の投資センスのなさが嫌になる」と嘆きつつ、「1億円の含み損」という事実を「吐きそう」という表現を用いて自虐気味に語ることで、自身の金融資産が1億円を優に超える水準であることをさりげなく示すことに成功している。

 

マウンティングポリス

「人間のあらゆる行動はマウンティング欲求によって支配されている」「マウンティングを制する者は人生を制する」を信条に、世の中に存在するさまざまなマウンティング事例を収集・分析し、情報発信に取り組むマウンティング研究の分野における世界的第一人者。「だれもが自分らしくマウントを取ることができる豊かな社会」の実現に向けて、我が国のマウンティングリテラシーの向上に努めることを人生のミッションとして掲げている。


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※本記事はマウンティングポリス 著の書籍『人生が整うマウンティング大全 』(技術評論社)から一部抜粋・編集しました。
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