昨年、レトルトカレーの市場規模が、カレールウ市場をはじめて上回ったそうです。この背景には、高齢世帯や共働き世帯の増加、少子高齢化や女性の社会進出も影響し、一世帯あたりの人数が少なくなっていることがあります。また、食事に手間をかけられないことや、家庭でルウを使ってカレーを手作りしても量が多くて食べきれないという理由からも、レトルトカレーの人気が高まっているようです。
長期保存ができるため、従来は災害時の非常食として購入されることも多かったレトルトカレー。特に2011年の東日本大震災をきっかけに非常食としての購入が多くなり、近年のレトルトカレーの進化を知った消費者が少なくないそうです。最近ではスーパーマーケットに種類豊富なレトルトカレーが陳列され、各地ではさまざまなご当地レトルトカレーが登場し、お土産としても人気です。
メーカーがしのぎを削るレトルトカレー市場
レトルトカレーの需要拡大を受け、各メーカーはレトルトカレー商戦に力を入れています。エスビー食品は、少量だけ食べたいという高齢女性らのニーズに応え、通常1袋200g前後の容量を65~75gに減らした「食べ方チョイス」シリーズを発売。「チキンマサラ」や「キーマ」など、6種類の味を食べ比べできます。
エスビー食品 新レトルトカレーシリーズ「食べ方チョイス」
大塚食品は高齢者向けに病院内の売店や調剤薬局限定で「マイサイズ いいね!プラス」シリーズを発売。塩分を抑えたものやタンパク質を多く摂取できるもの、糖質の吸収を抑制する機能を付加したカレーなどで健康志向を売りにしています。
ハウス食品は、共働き世帯向けに本格的なカレーを手軽に食べられる「プロクオリティ」シリーズを販売。手ごろな価格で本格派の味わいが楽しめると売り上げを伸ばしています。
栄養ちょい足し工夫で、レトルトカレーをより美味しく楽しく食べよう
ちょっと食材をプラスするだけでレトルトカレーが豪華な一品に変身します。カレーに使われているスパイスには体に良い効果がありますが、ほかの栄養素も足して食べてみては?
【野菜】
キャベツやレタス、トマトなど生の野菜を添えればサラダカレーに。野菜を一緒に摂ることでビタミンを摂取でき、栄養バランスが良くなります。
【卵】
栄養価が高く、カレーとの相性も抜群。生卵や半熟卵を添えればカレーの辛さがマイルドになります。生卵が苦手な方には目玉焼きやゆで卵もおすすめ。
【納豆】
良質なタンパク質が豊富で整腸作用のある納豆は意外にもカレーと高相性。カレーのとろっとしたルーに納豆のねばねばが加わっておもしろい食感に。
【チーズ】
カルシウムとタンパク質の摂れるチーズをのせるのもおすすめです。熱々のご飯の上にとろけるチーズをのせ、その上から温めたカレーをかければチーズが溶けます。
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味も質も格段に進化を遂げているレトルトカレー。いろんなメーカーの商品を試しつつ、食べる際にはちょい足し工夫で、食卓を華やかにしつつ、栄養バランスにも気を配ってみてくださいね。
文/江藤優