時間貸駐車場の普及とともに、よく見かけるようになったカーシェアリングのステーション。コストで比較すれば自家用車やレンタカーより断然お得と言われ、短時間利用をするユーザーが増えています。
これまでカーシェアリングで利用できる車種はエコカーが中心だったのですが、DeNAが提供する個人間カーシェアリングサービス「Anyca」では、高級外車のBMWやポルシェが人気なんだとか! カーシェアリングサービスは今後、どのように変わっていくのでしょうか?
人気車種ランキングでBMW3シリーズが1位!?
DeNAが提供する個人間カーシェアリングサービスの「Anyca」は、2015年にサービスを開始し、2018年1月には登録会員数11万人、登録車数4000台、登録車種数650種以上になっています。会員数はここ半年で約1.5倍、登録車数は1000台増えたそうです。先日DeNAから発表された人気車種ランキングでは、BMW3シリーズが1位、2位以下にはポルシェやベンツなどの高級外車、アルファード、エルグランドといった高級ミニバンが並んでいます。
「Anyca」は、クルマを使わない時にシェアしたいオーナーと、買うことは難しいけれど憧れの車に乗ってみたいドライバーをマッチングするサービスです。カーシェアリングサービスを提供する会社がクルマを用意するのではなく、「オーナーから直接借りる」というのが従来のサービスと違うところです。現在、都市部の若い世代を中心にユーザーを増やしていて、「若者のクルマ離れ」が叫ばれる中、まだまだ潜在需要が多いことをうかがわせます。
お得なカーシェアリングサービスを比較
1970年代の一億総中流と言われた時代から、現在の日本は格差社会へと変貌を遂げています。「若者のクルマ離れ」のみならず、カーシェアリングサービスの台頭に象徴される「クルマの所有離れ」を加速させているのは、そのための高額な経費ではないでしょうか。車両の購入代金に税金、保険代、駐車場代に車検代。走ればガソリン代に、定期点検を始めとする整備費用など、クルマを買って所有するにはかなりの経済力が必要ですね。
では、カーシェアリングはどの程度、安く利用できるのでしょうか? 「カレコ・カーシェアリングクラブ」「タイムズカープラス」「オリックスカーシェア」のサービスを比較してみました。
カレコ・カーシェアリングクラブ、タイムズカープラス、オリックスカーシェア公式サイトより
ベーシック、コンパクト、スタンダードクラスの価格(2018年3月現在)
時間あたりの料金はもちろんのこと、注目すべきは保険料・ガソリン代が料金に含まれている点です。税金・駐車場代・車検代もかかりません。長時間また長期間を利用するなら、従来のレンタカーがお得になる場合もありますが、短時間利用であるならば、カーシェアリングサービスが優位だと言えそうですね。
中国で急速に普及するカーシェアリング
カーシェアリングは、1970年代にスイスで始まったそうです。現在では、ヨーロッパやアメリカを中心に、世界中で利用されています。特に近年は、中国での普及が進んでいるようです。
もともと中国の都市部では、シェアサイクル(自転車のシェアサービス)が広く利用されています。他の人と何かをシェアして使う、という土壌ができているのですね。加えて中国では渋滞を防止するために、政府がクルマの台数を制限しています。北京ではクジ引きによってナンバープレートが割り当てられるため、100万人以上がクルマ待ちをしているそうです。
このような状況を背景に、北京、上海、広州など多くの大都市では、EV(電気自動車)のシェアリングサービスが普及し始めています。車種がEVなのは環境に配慮してのことですが、この傾向は今後、日本でも加速すると予想されています。
収入の多い少ないに関わらず、日常生活にはクルマを必要とする場面があります。年老いた両親を目的地まで運んだり、赤ちゃんを夜中に病院へ連れて行ったりするケースは、その典型ですね。そんな時にもカーシェアリングなら、24時間いつでも使え、料金もリーズナブルです。環境にも優しく、時代に合った優れたサービスではないでしょうか。
そしてカーシェアリングは、「Anyca」などの新サービスの登場で、必要に迫られた場合だけではなく、憧れのクルマで贅沢なひとときを楽しむような使い方もできるようになってきました。目的に応じて賢くサービスを使い分け、新時代のカーライフを楽しみましょう。
文/長田 小猛