「2軸思考」を使うと、考えるのも伝えるのも早くなる/2軸思考

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「頭の中がごちゃごちゃで、仕事が前に進まない」「次から次へと問題が起こってスケジュールが遅延している」...こうした複雑な問題を一瞬でシンプルにしたいなら、紙に、2本の線を引いてみてください。
本書『2軸思考』で、あらゆる問題をタテとヨコの2軸で整理して考える方法を学び、最速の時間で最大の成果をあげていきましょう! 今回はその11回目です。

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前の記事「外資系企業役員の口癖は「簡単な図にできないかな?」/2軸思考(10)」はこちら。

 

2軸思考 5つのメリット
――考えるのも、伝えるのも速くなる

いま、私たち一人ひとりがこなすべき仕事はどんどん量が多くなり、複雑化しています。一方で、残業禁止など生産性のアップが叫ばれ、仕事に使える時間は年々少なくなっています。「もっと速く仕事をしよう」「問題は後回しにせずに、すぐに片づけよう」というかけ声は聞こえますが、では、どうすればそのように仕事ができるのかという方法論は語られません。変わる方法がわからないのに単に残業を減らしても、成果も一緒に少なくなるだけです。

こうした問題を解決するアプローチのひとつが「2軸思考」です。扱う内容が複雑であればあるほど、漠然としていればいるほど、2軸でシンプルに整理することの効果は高くなります。

2軸思考を使うと、すぐに
・考えるスピード
・伝えるスピード
が速くなることを実感できると思います。理由は、いま直面している複雑な問題が2つの軸でシンプルに「見える化」されるからです。

人は意外と、自分が考えていることを頭の中だけでは整理できていません。書き出して初めて、「あ、自分の頭の中はこうなっていたのか」と理解することができます。これは相手と話すときも同じ。お互いの頭の中を見える化できれば、コミュニケーションのミスを最小限に抑えることができます。

自分の考えを整理して伝える。たった2本の線を引くだけで、この2つが同時に実現できるようになるのです。

 

メリット:1 「悩む時間」がなくなる

人は、やることが明確な場合はすぐに行動できますが、「何をしたらいいか」がわからないときは手が止まってしまいます。よく、重要で難しい仕事を後回しにしてメールの返信や簡単な仕事ばかりで1日が終わってしまっている人がいますが、それはある意味で「自然な」行動と言えます。

これは、思考においても同じです。悩んでしまっているときには、考えるべきことが整理されていなくて「何を考えればいいのか」がわかっていないのです。線を2本引くことで考える枠が決まると、驚くほど悩む時間が少なくなります。枠さえ作ってしまえば、あとはその枠に沿って中身を埋める「作業」をするだけです。

さらに、いままで無意味に「悩んで」いた時間を枠の中で「考える」時間に回せるので、その時間の分、より深く考えることができるようになります。

 

メリット:2 「即断即決」できる

2軸思考で全体像を捉えることで、何を考えるべきか、何を考えなくてもいいかがすぐわかるようになります。初期段階で全体を捉えた上で思考の範囲の選択と集中をしているので、「即断即決」ができることにつながります。

フレームワークを使わずに思考すると、「考慮モレがあるのではないか」「想定外のことが起きないか」という不安にかられてなかなか決断できません。もちろん、2軸思考をしていても決断するときには不安にかられます。しかし、2軸思考で考えていれば、「これで判断が間違っていたならばしょうがない」「考えうることは考えた」という自信を持つことができます。

話は少しそれますが、「判断」と「決断」は違います。「判断」とは、右がいいのか左がいいのか、状況やデータから「考える」こと。すなわち案がA~Eの5つあったら、それらのうちのどの案が最適かを検討することです。

一方、「決断」とは、「明確な意思を持って決める」ことです。右と左で右のほうがいいだろうと「判断」したあとに、右に行く!と「決断」するのです。「決断」には勇気と覚悟が必要で、責任が伴います。人間誰しも本当に右でいいのか、実は左のほうがいいのではないか、といった不安にかられます。そして、右に行こうが左に行こうが、その結果責任は決断した人にあります。

だからこそ、決断には勇気と覚悟が必要なのです。その決断をするときに、「ここまで考えたのだから......」という後ろ盾となってくれるのが、2軸思考なのです。

 

次の記事「2軸思考を使うと、効率的に新しいアイデアが出る/2軸思考(12)」はこちら。

木部 智之(きべ・ともゆき)

日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBMにシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には 最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』(KADOKAWA)がある。

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『2軸思考』
(木部智之/KADOKAWA)


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