スーパー歌舞伎、待望の第3作上演!中村隼人さんインタビュー

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時代劇や大河ドラマ、スーパー歌舞伎などで活躍し、歌舞伎界のプリンスといわれている今注目の歌舞伎俳優の中村隼人さん。今年10月から始まるスーパー歌舞伎ll『新版 オグリ』の主演に抜擢された今の心境をインタビューしました。

市川猿之助との交互出演で主人公オグリ役を勤める

人気マンガを原作にした舞台「ワンピース」が話題となり大ヒットした、市川猿之助による「スーパー歌舞伎ll」が、この秋に待望の第3作を上演します。演目に選ばれたのは「オグリ」。古典歌舞伎としても愛される小栗判官の物語を、かつて市川猿翁さんが「スーパー歌舞伎」として新しい生命を吹き込み、1991 (平成3)年に初演した名作です。この主人公・小栗判官(オグリ)に、市川猿之助さんと交互出演で若手花形俳優の中村隼人さんが抜擢されました。

「すごくありがたいです。 猿之助兄さんから「オグリ」を隼人と一緒にやりたいとおっしゃっていただいていたのですが、まさか私が主役でやらせていただけるとは思ってもいなかったので。衣裳をつけて撮影したときに初めて実感が湧いてきました。
猿之助兄さんからは、「若くて勢いのある役が、いまのあなたに合うと思う」と言われました。そうなのかなぁと思っていましたが、実際に台本を読んでみると、確かに共感する部分がありました。オグリは何でも手に入り過ぎて寂しさや物足りなさを感じる"ロマンの病"を抱えた人物です。でも、その全てを失ってしまい、悩みながら、いろいろなものに気付いて成長していきます。私も仕事や人間関係やいろいろなことで悩む時期でもあって、そこが重なる部分かなと思います。
地獄に落とされたオグリが閻魔大王に会うのですが、そこで閻魔大王が言うんです。どんな地獄の拷問よりもつらいことがある、人は生きることがいちばんつらいのだと。深いなぁと思いましたね」

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2020年夏のスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」でも市川猿之助との交互出演がすでに発表されています。

「ありがたいことです。いましか経験できないことだと思いますので、誠心誠意、自分ができる全てを注ぎ込んでいきたいと思っています。猿之助兄さんがいなかったらいまの私はありません。全てを導いてくださった。憧れであり、畏れであり、先輩ですが仲のいい同志でもあります。 猿之助兄さんはまさにオグリみたいな方で、われわれ後輩にいつでも道を示してくれます。今回交互出演ではありますが、猿之助兄さんと私では生きてきた年数も歩んできた道も違うので、自ずと違うようになると思います。普通は交互出演だと衣裳も一緒ですけれど、今回のオグリ役の2人の衣裳はかなり異なります。それは私は私のオグリをやっていけ、ということだと思っています。それに応えるためにも、私は熱量、勢い、若さを前面的に出して演じていきたいと思っています」

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スーパー歌舞伎ll史上いちばんの一大スペクタクルな舞台です

新版と冠される今回の『オグリ』は、現代ならではのエピソードや最新技術をふんだんに盛り込んでよみがえります。

「ストーリーには、ツイッターに似たものが出てきたり、情報だけで惑わされる人がいたり、ネット社会など現代的な感覚がいっぱい描かれます。そして、新橋演舞場では初となる左右の客席での同時宙乗りをはじめ、血の池地獄での大量の水の中での立廻り、さらに最新技術を使った映像など盛りだくさん。スーパー歌舞伎ll史上いちばんの大スペクタクルな舞台になると思います。いままででいちばん心に残るエンターテインメントになるのではないでしょうか。

いままでスーパー歌舞伎を映像でしか見たことのなかった自分を、『ワンピース』で主要な役に据えていただき、そして今回は交互出演という形で、間近で猿之助兄さんのエッセンスを感じることができる。本当にいろいろなことに感謝です。
いまは仕事をしているのが楽しいので、あえて踊りの会など自分で仕事を入れて、古典に身をおいて自主稽古をするようにしています。古典で培ったものが新作に生きますし、新作をやることで自分に足りない部分を知ることができて古典に返ってくることも大きいんです」


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スーパー歌舞伎ll『新版 オグリ』

2019年10月6日(日)〜11月25日(月)
原作:梅原 猛
脚本:横内 謙介
演出:市川猿之助、杉原邦生
スーパーバイザー:市川猿翁

出演 市原猿之助、中村隼人ほか
会場 新橋演舞場
住所 東京都中央区銀座6-18-2
問い合わせ チケットホン松竹
電話 0570-000-489 または 03-6745-0888
料金 一等席16,500円、二等A席9,500円、二等B席6,500円、3階A席6,500円、3階B席3,000円、桟敷席17,500円(全て税込)
交通 東京メトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座駅」6出口より徒歩5分、都営大江戸線「築地市場駅」A3出口より徒歩3分

 

中村隼人(なかむら・はやと )

1993年11月30日生まれ、 兵庫県出身。2--2年初舞台。古典はもとよりスーパー歌舞伎ll『ワンピース』などに多数出演。今年はBS時代劇「大富豪同心」に主演するなど歌舞伎以外でも広く活躍。次代を担う花形俳優の一人。

この記事は『毎日が発見』2019年10月号に掲載の情報です。

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