平成から令和へ・・・「時代を詠む」俳句の魅力

俳句の井上弘美先生と、月ごとのテーマに合わせて俳句から学んでゆく、「毎日が発見」本誌の人気連載「俳句のじかん」。今回のテーマは「時代を詠む」。新たに「令和」がスタートした5月にこそ感じ取りたい、2つの句をお届けします。

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メイストーム千切れむばかり薔薇ゆれて 草間時彦

今年の立夏は5月6日(月・休)。初夏の光と風は清々しく、生命力に満ちています。メイストームは5月の暴風雨。

1954年5月に北海道近海で漁船の大遭難を引き起こした低気圧の名前で、以後、5月の暴風雨をこう呼ぶようになりました。作者の住まいは逗子にあり、5月は強い西風が吹きます。庭に咲き誇る薔薇を「千切れむばかり」と言いつつ、楽しんでいるような句。カタカナを用いて洒落た作品に仕上げています。

作者は1920年東京生まれ。詩歌文学館賞、蛇笏賞などを受賞した作家で俳壇の重鎮。2003年に没。享年83。

 

 
油絵に昭和の暗さ夏館 長嶺千晶

平成が終わり、いよいよ新しい時代が始まりました。〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉と詠んだのは中村草田男でしたが、昭和も遠くなります。

夏館に掛けられた一枚の油絵。それは紛れもない「昭和」の暗さをもっているというのです。明るい印象派風の絵ではなく、写実的で重厚な絵がイメージされます。俳句で時代を詠むのは難しいのですが、絵として表現したことで成功しました。

作者は1959年、東京生まれ。「晶」主宰。師、中村草田男の研究で俳人協会評論新人賞を受賞。論作ともに優れた精鋭作家として活躍中です。

 

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<教えてくれた人>
井上弘美(いのうえ・ひろみ)先生

1953 年、京都市生まれ。「汀」主宰。「泉」同人。俳人協会評議員。「朝日新聞」京都版俳壇選者。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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