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涙の味はその時々の感情によって違う!?
映画を見て大泣きしたときなど、涙が口に入ってしょっぱかったという経験はないだろうか。だが、涙の味はそのときの感情によって微妙に違っているのだ。
涙の成分はまず水分で、これが98パーセントを占めているのだが、それに塩素とナトリウム、タンパク質、糖質、カルシウム、カリウムなどが加わっている。涙の味を変えるのはナトリウムである。
泣くときには、自律神経の交感神経と副交感神経が刺激を受けて涙が流れるのだが、この二つの神経が働くときの感情は同じではない。
人間が怒ったり感情が高ぶったりしているときは、興奮をつかさどる交感神経が優位にはたらく。すると、腎臓からのナトリウムの排出が抑制されるので、涙の原料になる体液のナトリウム濃度が多くなる。そのため、怒りの涙や悔し涙は塩辛い。
これに対して、喜んだり悲しんだりしているときは、感情が外に放出されて副交感神経のはたらきが優位になる。腎臓のナトリウム排出はよく機能するので、体液のナトリウム濃度は上がらない。そのため、うれし涙や悲しみの涙はあまり塩辛くはない。特に、感動のあまり流す涙は量も多いので、塩分濃度が薄く、水っぽい味がする。
涙には、プロラクチンや副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、コルチゾールなどのストレスホルモンも含まれているので、泣くことによってこれらが体から排出され、脳内からは快感物質のエンドルフィンも放出される。泣くとなぜかすっきりした気分になるのは、このためである。