酒井宏樹「自分1人でなんとかしようと、悩み続けて途方に暮れるのは無意味」/リセットする力

24051808.jpgフランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、サッカーワールドカップロシア大会での活躍が期待されるサッカー選手、酒井宏樹。しかし彼は「弱気」で「人見知り」という性格の持ち主だった...。
サッカー選手に不向きなその性格をいかにして克服してきたのか? 本書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』で、その具体的な方法を探っていきましょう。

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最初は能力の高い人に頼っていい

マルセイユでのプレーを経て、日本のメディアから「酒井はパスをつないで攻撃を組み立てるプレーが上達した」と言われることが多くなりました。でもこれは、僕がうまくなったというより、チームメートの能力の高さや相乗効果が大きく関係しているように思います。

優秀な人と仕事をすることで自分も成長できるという話はよく聞きますが、マルセイユで僕の身に起こっていることは、まさにその縮図だと思います。

マルセイユの選手はみんなレベルが高く、しかも驚くほど良い位置でパスを受けてくれます。僕がそこにパスを出したいと思ったら、だいたいそのポジションにいてくれる、そんな感じです。

マルセイユに来て自分のテクニックが向上したとは思っていませんが、世界トップレベルの環境に身を置くことで、判断力と判断スピードが高まり、プレー中の視野がものすごく広がりました。自分が良い判断をして、良い視野を確保できれば、味方が絶妙のタイミングでパスを受けてくれるわけだから、時間のロスも起こらない。そうすれば相手選手には捕まらないし、フロリアンやディミトリは、難しい状況であればあるほど「俺がなんとかしてやる」と思ってくれる選手なので、パスを通せば相手のマークが厳しくても個人の能力で相手の寄せをかわすことができるのです。

彼らにボールを預けたあとは、僕が質の高いランニングをすれば、今度は彼らが僕の動きを見て必ず良いパスを出してくれるから、僕の動き次第でチャンスは大きく広がります。

なかでもフロリアンと柏レイソル時代のレアンドロ、この2人は、本当に僕の使い方がうまい。僕が効果的なランニングをして彼らを追い越そうとすると、フロリアンもレアンドロもその動きを見ながら一度自分のほうに相手の重心を寄せてから、一気にパスを出してくれるので、結果的に相手の逆をつく形になり、僕が完全にフリーな状況でパスをもらうことができ、チャンスをつくることができます。

もし相手が僕の動きに釣られて重心が逆に傾けば、その瞬間を見逃さずに彼らは自らドリブルでなかへと入っていきます。こうしたプレーによって柏レイソルやマルセイユでは何度も右サイドから相手を崩しました。これは僕がうまいわけではなく、彼らの能力のおかげで相乗効果が働いた典型的な形です。

 
自分の力を引き出してくれる仲間がどこかにいる

2人の連携で完璧に崩すことができるようになると、不思議と相手のプレッシャーはまったく感じなくなります。また、攻撃の主導権をこちらが握っているため、「こういう動きでターンをすれば相手は寄せてくるだろうから、プレッシャーをかけてきたら逆をついて、そのままドリブルをして中央突破してみよう」などのイメージが次々と湧いてきます。

そのため、プレーしていても、すごくワクワクするし、とにかくサッカーが面白いという感覚を持ちながら、「こういうときにはこういうプレーを選択すればいい」と勉強になることも多いので、連携の幅はどんどん広がっていきます。

決して自分がうまくなくても、相乗効果で自分の力を引き出してくれる仲間の存在というのは非常に大きいと感じています。こうしたプレーができることもまた、自分の自信につながっていきます。

自分1人でなんとかしようと悩み続けて途方に暮れるのは無意味なことです。身近に能力の高い人がいたら、その人を頼り、一緒に仕事をすることで自分の新たな力を引き出してもらう。そこで手順やプロセスを学ぶことができれば、自分のスキルアップにつながりますし、何より自信が深まり、メンタルが強くなるように思います。

 

次の記事「酒井宏樹「ミスをしても、自分を否定しないことが意外と重要」/リセットする力(20)」は近日公開。

撮影/千葉 格

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酒井 宏樹(さかい ひろき)

1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。日本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。

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『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』

(酒井 宏樹/KADOKAWA)

「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、世界の注目を集めるサッカー選手となった酒井宏樹。彼はいかにして「自信のなさ」と「メンタルの弱さ」を克服し、心を強くしていったのか。自然と心が強くなる具体的な方法をこれまでのエピソードをとおして初公開!

この記事は書籍『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46」』からの抜粋です。
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