サッカー日本代表・酒井宏樹「"怒る"のではなく一緒に"解決の道"を探す」/リセットする力

24051818.jpgフランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、サッカーワールドカップロシア大会での活躍が期待されるサッカー選手、酒井宏樹。しかし彼は「弱気」で「人見知り」という性格の持ち主だった...。
サッカー選手に不向きなその性格をいかにして克服してきたのか? 本書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』で、その具体的な方法を探っていきましょう。

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前の記事「酒井宏樹「あらゆる答えは自分のなかにしかない」/リセットする力(6)」はこちら。

 

怒りは状況を悪化させるだけ

"怒る"ことは莫大なエネルギーを必要とします。それでいて、"怒り"はポジティブな感情ではありません。僕は感情に流されて怒らないよう常に心掛けています。ピッチ上で何か問題が発生して、それに対してチームメートに怒ったとしても、怒る時点でもはや手遅れだからです。その2つ、3つ前の段階で手を打っておけば、怒らずに済んだ可能性もあったはず。そう考えれば、怒る側にも少なからず問題があったと言えます。

誰だって怒られると良い気分はしません。僕はチームメートに対しても、家族に対しても怒ることはありません。その理由は、相手にストレスを与えたくないという気持ちもありますし、それ以上に、僕はわざわざ怒らなくても問題を本質的に解決できる方法を知っているからです。

仮に何か大きな失敗をしてしまったけど、それは本人の望んだことではなかったとします。その背景が見えているにもかかわらず、怒りの感情を爆発させたところで、問題は解決しません。

むしろ怒っている時間の分だけ、解決は先送りになりますし、感情的になっている状態で冷静な判断を下せるとは僕は思いません。

失敗によって起こった現実を変えることは不可能です。ならば、「仕方がないことだった」と相手を尊重したうえで「一緒に解決しよう」という姿勢で話をします。怒っても、優しく言っても、どちらでも解決が難しいようであれば、僕は怒るよりも優しく伝えるほうを選択します。

先ほど、"怒り"は莫大なエネルギーを必要としながらも、ポジティブな感情ではないと言いました。しかし"優しさ"は間違いなくポジティブな感情です。ネガティブなアプローチの場合、言う側にも言われる側にもマイナスの感情が生まれ、状況を悪化させるおそれがあります。ならば意識的にポジティブなアプローチを心掛け、少しでも早く解決策を見出したほうがいいというのが僕の意見です。


怒っている相手にはひとまず時間をあける

それに、感情に流されて怒鳴り散らしている人には説得力を感じません。僕は怒られるときに、淡々と冷静に怒られるのと、感情的に怒鳴られるのだったら、冷静に怒られるほうが怖いです。

試合中はアドレナリンが出て興奮状態にあるため、選手によっては試合の流れが悪いとイライラが募ってチームメートを怒鳴りつける人もいます。もしチームメートが僕に対してそういう態度に出てきた場合、僕のほうに非があれば素直にそれを認め、そのうえで「いまのプレーは僕が悪かった。でもこれはやってほしい」と伝えるようにしています。

しかし、完全に相手の発言に矛盾があって、しかも、それを怒鳴りながら僕に責任転嫁(てんか)してきたら、最初は話し合いのトライをしますが、言ってもどうしようもないと思ったときは「オーケー、あとでまた話そう」とあえて時間をあけるようにしています。ピッチから離れれば相手も落ち着いているから、今度は冷静に話し合いができます。また、間を置くことで、相手が「さっき俺が言ったことって、もしかしたら間違っているのかもしれない」と考える時間もできると思います。

外国人の場合だと、時間が経つとすっかり忘れて、「ヘイ、ヒロキ! さっきは悪かったな!」と笑いながら何事もなかったかのように言ってくる人もいるので、「あれ?」と拍子抜けすることもあります(笑)。

 

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撮影/千葉 格

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酒井 宏樹(さかい ひろき)

1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。日本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。

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『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』

(酒井 宏樹/KADOKAWA)

「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、世界の注目を集めるサッカー選手となった酒井宏樹。彼はいかにして「自信のなさ」と「メンタルの弱さ」を克服し、心を強くしていったのか。自然と心が強くなる具体的な方法をこれまでのエピソードをとおして初公開!

この記事は書籍『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46」』からの抜粋です。
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