サッカー日本代表・酒井宏樹が内田篤人と争って学んだこととは?/リセットする力

24051801.jpgフランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、サッカーワールドカップロシア大会での活躍が期待されるサッカー選手、酒井宏樹。しかし彼は「弱気」で「人見知り」という性格の持ち主だった...。
サッカー選手に不向きなその性格をいかにして克服してきたのか? 本書『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』で、その具体的な方法を探っていきましょう。

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前の記事「サッカー日本代表・酒井宏樹「嫌われる勇気を持っていなくても成功を収めることはできる」/リセットする力(5)」はこちら。

 

あらゆる答えは自分のなかにしかない

意外に思われるかもしれませんが、僕は天(あま)邪鬼(じゃく)な性格です。
みんなが「これをしたい」と言ったことを、「僕はしたくない」と言ってみたり、みんなが「美味しくない」と言ったものに対して「いや、美味しいんじゃないか」と言ってしまうことがあります。

そんな性格が影響しているからかもしれませんが、試合が終わったあとも勝利したときほど課題を多く出して伝えますし、負けた試合ではポジティブに修正できるように発言しています。それに、勝ったときは僕が言わなくても周りの人が勝因やチームの良かった点をどんどん発言してくれるから、自分は負けたときにその敗因や次の試合へ向けての修正点を言うように意識しています。

やはり人と同じでは面白味がないですし、ことサッカーに関しては人と比べることはしません。

最初に比較することをやめたのは、アルベルト・ザッケローニ監督時代に日本代表に選ばれて、(内田)篤人(あつと)くんと右サイドバックを争ったときでした。初めて篤人くんと代表でチームメートになり、「この人は抜群にうまい。自分にない特性を持っている。すごいな」というのが篤人くんのプレーを見た率直な感想でした。同時に、「いまこの人と同じプレーをしても、この人みたいな選手にはなれない」とも感じました。

仮に真似をしたところで、イミテーションがオリジナルを超えることはあり得ない。真似した人がその人を超越することはできないと肌で感じていたこともあり、僕は僕なりに自分のプレースタイルを追求しようという覚悟が決まりました。それに監督も同じプレースタイルの選手を2人並べようとは思いません。

周囲から篤人くんと比較されることは多かったですが、僕のなかで「比較しても意味はない」と客観的に気づくことができたのは大きな収穫でした。

また、日本代表で能力の高い選手が周りにいるのは、自分にとって非常に良い環境だと言えます。そこに身を置くことで、いろいろと考えさせられる機会が増えたからです。そして「どうすれば自分は試合に出るチャンスを得ることができるのか」を自問すればするほど、答えは自分にしかできないプレーを極限まで磨くだけ、という結論になっていきました。

技術と戦術眼に優れる篤人くんが常にスタメンを張り続けるのであれば、僕は負けている劣勢の状況のときでもいいから、まずはワンポイントで使ってもらえるようなプレーを心掛けるようにしました。たとえば、前線に攻め上がってチャレンジできる回数を増やすための上下への動きや、ゴール前へ数多くチャンスを供給できる精度の高い高速クロスを磨いていこうと考えていました。

 
もともと特別なオンリーワン

この考えは、マルセイユでプレーするいまでも変わりません。
いまのマルセイユの右サイドバックにはブナ・サールという選手がいます。もともと右のサイドアタッカーの選手でしたが、リュディ・ガルシア監督によって右サイドバックにコンバートされました。そのため、彼はドリブルを仕掛けていく超攻撃タイプの右サイドバックです。

攻撃力ではまったく歯が立たないことはわかっていたので、僕はそれまで以上に戦術理解や戦況把握、試合の流れを読む技術など頭を使ったプレーを意識するようになりました。さらには、ブナが超攻撃的ならば、僕は味方との連携をより向上させて、組織的な守備力を高めていこうと考えました。

対戦相手が強豪クラブである場合、点を取ることはもちろん大事ですが、それ以上に失点しないことが求められるからです。幸いにして僕もブナも、マルセイユではともに出場機会を得ることができています。

個性というのは、それぞれによって違います。

だからこそ、自分にしかできないことがあるはず。それを見つけて磨くことで、自然と状況は好転していくものです。

 

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撮影/千葉 格

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酒井 宏樹(さかい ひろき)

1990年4月12日、長野県生まれ。千葉県柏市で育つ。柏レイソルU-15、U-18を経て2009年にトップチームへ昇格。2010年にJリーグデビュー。2011年にはチームの主力として活躍し、チームのJ1優勝とともに、ベストイレブン、ベストヤングプレーヤー賞を受賞。同年10月にはA代表に初選出される。日本での活躍が評価され2012年にドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ完全移籍。主力として活躍した後、2016年6月にフランスの名門オリンピック・マルセイユへ完全移籍。マルセイユ移籍後も確固たる地位を築き、不動の右サイドバックとして活躍。日本代表でも欠かせない存在として、2018年ロシア・ワールドカップでの活躍が期待されている。

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『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46』

(酒井 宏樹/KADOKAWA)

「日本人は活躍できない」という前評判を覆し、フランスの名門マルセイユで不動の地位を確立し、世界の注目を集めるサッカー選手となった酒井宏樹。彼はいかにして「自信のなさ」と「メンタルの弱さ」を克服し、心を強くしていったのか。自然と心が強くなる具体的な方法をこれまでのエピソードをとおして初公開!

この記事は書籍『リセットする力「自然と心が強くなる」考え方46」』からの抜粋です。
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