やさしい手ぬいを提案する高橋恵美子さんのきものリフォーム。今回ご紹介するのは、「きものをほどいて作る『サルエルパンツ』」です。身幅にゆとりがあって軽快に歩くことができるのもこのサルエルパンツの特徴。
緩やかに広がるラインが魅力です
ヒップまわりはたっぷりサイズ。ウエストもゴム入りでラクに身に着けられます。大胆な柄が映えるのもきものリフォームならでは。
軽快に歩けるのは身幅にゆとりがあるからこそ。きもの地は光沢のある銘仙。
股上が深く、包み込まれるような安心感のあるサルエルパンツです。
このゆとりは、幅約36cmのきもの地を3枚ぬい合わせた広幅の布を使うことで生まれるもの。
スカートのように広がって動きやすく、風通しもいいので、これからの季節にぴったりです。
肌になじむ木綿地で作ってもすてき
木綿の久留米絣(がすり)で作った、上と同じデザインのパンツです。「久留米絣はかすれたような独特の模様にひかれます。柔らかな風合いで、家で洗濯もできるのでおすすめの素材です」と高橋さん。この柄は広がる銀河を藍染の糸で描いた「七宝銀河藍染」。
*久留米絣提供/下川織物
《作ってみましょう》
サルエルパンツ
丈は自分の身長に合わせて選びましょう。
材料
単衣(ひとえ)のきもの...1枚
ゴムテープ...幅2cm×ウエストサイズの95%の長さ
手ぬい糸
*上の2枚のパンツは同じ手順で作れます
基本のぬい方
【並ぬい】
【返しぐしぬい】
2、3針並ぬいしたら、ひと針戻って再び並ぬい
【半返しぬい】
ひと針ぬったら、半目分戻してぬうことを繰り返す。
【コの字まつり】
布を突き合わせ、折り山から出した糸を等間隔にコの字に渡しながら折り山をすくってぬう
《最初に広幅の布を作ります》
1 . きものをほどく
きものをほどくと下図のような四角い布に戻ります。サルエルパンツにはきものの身頃や袖を使います。
【きものになる前の生地を使っても】
きもの地の幅は約36cmと決まっています。写真のような反物の布を利用して作ることもできます。
2.きもの地を3枚ぬい合わせる
図のようにきもの地をぬいます。用尺は自分の身長に合わせて決めましょう。
3.きもの地を裁つ
型紙をきもの地にのせ、ずれないようにまち針で留めてからできあがり線とぬい代を描き、布を裁ちます。
1 . 補強ぬいをする
ぬい目がほつれないよう、表側からぬい目の際を5cm並ぬいして補強する。
2.前股上をぬう
片側のぬい代を、もう一方のぬい代でくるんでぬう。布端が隠れるのできれいに仕上がる。
3 . 後ろ股上をぬう
4 . 股下をぬう
5 . ウエストをぬう
6 . 裾をぬい、ウエストにゴムテープを通す
取材・文/飯田充代 撮影/中島繁樹 モデル/寺田 椿 スタイリング/石井あすか ヘアメイク/成澤宏人
作図/比護寛子 イラスト/たまスタヂオ