NHK連続テレビ小説「おちょやん」の高峰ルリ子役が話題となった、宝塚歌劇団・元花組トップスター、明日海りおさん。5月から初の看板番組「明日海りおのアトリエ」が配信されています。明日海さんの日々への思いを伺いました。
ーーどんな番組ですか?
私が知りたいことや興味のある分野...好きな食べ物と言った方がいいかもしれませんが(笑)、日々の暮らしがちょっと豊かになるようなことを勉強させてもらう番組です。
インテリアのプロに、もっと自分好みのお部屋に近づけるにはどうしたらいいかを教わったり、おいしいお米を自宅で簡単に炊くコツを学んだりしています。
いつもより、ちょっと手間と時間をかけて、自分で見守りながら炊いたお米は本当においしくて。
お米にはどんな種類があって、自分の好みはどの品種なのか。
そういうことを楽しみに勉強しにいく感覚で、演じるのとはまた違った、新しい分野のお仕事に挑戦させていただいています。
「おちょやん」のルリ子さんを振り返って
ーー新しい挑戦といえば、朝ドラ「おちょやん」ですね。初登場シーンのカメラ目線も話題になりました。
最初は「え!?」と思いました。
台本をいただいて、いろいろプランを考えていったら、監督が「カメラ目線にしようかと思って」と。
一度、頭が真っ白になりました。
でも、印象的な初登場シーンのおかげで振り切れて、ルリ子さんを思い切り演じられたと思います。
撮影は関西のスタッフの方が多くて、すごく明るい、まさに「鶴亀家庭劇」一座で合宿しているような現場でした。
本当に家族みたいなチームワークで。
ルリ子さんも時の流れでだんだん変化していくんですよね。
そこを工夫するのが楽しかったです。
最初は東京から来た新派の女優さんというプライドを前面に出していましたが、長年、千代ちゃんや一座の皆と過ごしていく中で、周りの人への愛情を感じるようになって。
でも、ヘンなところでムキになる部分は残しつつ(笑)。
年齢を重ねれば、ルリ子さんもちょっと丸くなっていくだろうし、それなら歩き方も変わるだろうなとか、時の流れに思いをはせながら。
一座の欠けてはならないピースになれたらと思っていました。
生きることにお休みはないから
ーールリ子さんの変化は、明日海さん自身にも影響があったようですね。
生きることって毎日お休みがないから、ちょっとした積み重ねで、1、2年後の自分が変わってくると思うんです。
だから、日々の小さな生活習慣も大切にして、時にはいい具合に心もほぐしていきたいなと。
新番組では、お仕事をしながら、暮らしのヒントになるような情報をお届けしつつ、自分自身も楽しめる、とてもいい機会をいただけたなと思います。
2年前に宝塚を退団して、何もかもが新しい経験なので、自分がどう変化していくのかを楽しみながら、周りの意見を聞いて、自分の軸がぶれないようにしたいです。
私、多分ガンコなので。
この人ガンコだな~と思う人に、私の方がガンコって言われたりするんですよ(笑)。
ーーこうしてお会いすると、やわらかで可憐な印象なのに意外です。男らしい一面も?
生き方は男前でありたいと思います。
ちゃんとやるときはやる。
決めるときは決める。
今回の番組でも皆さんにちゃんとお伝えしたいのですが、匂いや味って映像では伝わらないので、説明するのが難しくて。
できるだけ正確に説明しようとすると、ちょっと独特の表現になっているらしく(笑)。
毎日の暮らしを豊かにするという目的はもちろん、ほっこりしたいときに見ていただけたらうれしいです。
取材・文/多賀谷浩子 撮影/吉原朱美