さば缶は、DHAやEPAといった認知症予防に効果的といわれる成分をたくさん含んでいる優秀な食材です。しかも生のさばを調理したときよりもしっとりとしているので、とても食べやすく、飲み込みやかむのが難しくなった方にもとてもお勧め。料理の際も調味料いらずで、捨てる部分がないなど、いいことずくめです。さば缶に関するQ&Aをまとめました。
Q.缶詰は時間がたった方がおいしいの?
A.魚肉や野菜、水煮やみそ煮など、内容物や味付けにより差はあると思いますが、製造後すぐのものより数ヶ月〜1年程度経過したもののほうが、塩カドが取れて調味料が具材となじみおいしく感じます。
Q.缶汁にも栄養はあるの?
A.汁にも栄養が溶け出しています。缶詰の中の脂はさば由来のものでDHAやEPAが、1缶の缶汁には1日の摂取目安量の半分以上入っています。缶汁も調理に上手に使ってみましょう。
Q.1缶には生さばではどのくらいの量が入っているの?
A.さば缶1缶(200g)には、重量換算で約1尾分のさばが入っていることになります(頭や尻尾、内臓等非可食部分を除いたさば重量として)。ですから、缶詰なら、生で食すよりもけっこうたくさんの量を食べることができます。
Q.なぜ缶詰だと骨まで食べられるの?
A.缶詰の製造中、高温高圧条件で殺菌する「殺菌工程」の際、高温加熱(約115℃前後)することで圧力鍋と同じような効果を得られます。100℃以上の高い温度で加工することにより、骨もやわらかくなり食べられるようになります。
Q.缶詰の賞味期限はどのくらい?
A.基本的には3年です。製造過程ではふたをして密封された缶詰を高温高圧条件で殺菌する「殺菌工程」があり、缶の中に細菌がいない状態を作るため、保存料を使用せずに長期保存が可能になります。常にストックしておき、使ったら、順次買い足すようにすると非常時の備えにもなります。
Q.缶詰が残ったときの保存の仕方は?
A.基本的には開封後は早めに食べます。残った場合は、ふた付きの別の容器に移し(ふたがない場合はラップなどで密閉)、冷蔵保存します。開封後は普通の料理と保存や扱いは変わりません。
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん
料理研究家・管理栄養士。1942年、福岡生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。食材の持つ力で健康寿命の延伸を図る研究に関与。同大学にある「村上祥子料理研究資料文庫」で50 万点の資料が一般公開されている。公式ホームページ http://www.murakami-s.jp/