抜け毛は自分とは関係ないと思い、特に気にせず生活していませんか? そんな方は要注意! 髪は抜け始める前からケアすることが重要なのです。特別なことは必要ありません。衣食住を中心とした生活習慣を根本から見直すだけで、数年後の未来の自分の髪に先行投資することができます。最新の科学的根拠をもとに知識を深め、薄毛にならないための生活を今から始めてみませんか。
抜け毛にまつわるさまざまな原因や治療法、ケアなどを薄毛治療の第一人者である岡嶋研二先生に伺います。
前の記事「円形脱毛症のメカニズムは? いまだに解明できないって本当?/抜け毛予防(9)」はこちら。
おすすめしたいのは「湯シャン」! シャンプー不使用が健康的です
皮脂は、皮膚の保護膜のようなもので、とても大切です。シャンプーで皮脂を取りすぎると、保護膜がなくなり、水分が蒸発して頭皮がカサカサに荒れていき、髪の毛が抜け始めます。
「ホームレスの人に薄毛が少ないのは、シャンプーを使う機会が少ないからでしょう。頭皮の皮脂を取りすぎないようにするには、少し熱めのお湯で頭を洗うのが良いでしょう(湯シャン)。実際、シャンプーの使用を数日間やめてみると、かゆみや臭いが気になる方も多いと思います。これは、日常的にシャンプーを使ってきたことで皮脂の過剰分泌が当たり前となっていたからです。ただし、これは一概に悪いこととはいえません。かゆみとは神経が刺激された結果、起こってくるものです。この神経への刺激がIGF-1を増やし、髪を生やす効果があるため、薄毛予防の面から見れば、かゆみはむしろ、育毛を促進している結果なのです」(岡嶋先生)
41~42度のお湯だけで洗うのがベストです!
「41~42度の湯だけで頭皮と髪を洗い続けてみてください。すると、最初は気になったかゆみや臭いがだんだんと取れていき、1週間も経てばシャンプーを使わなくても平気になってくるはずですよ。僕はもうずっと、シャンプーを使っていませんが、かゆみも臭いもなく、もちろん抜け毛も少ないです」
とはいえ、長年使ってきたシャンプーをやめるには抵抗がある人も多いはず。そんな人は、3日に1度だけシャンプーを使うなど、まずは回数を減らしてみてください。もし、それも抵抗があれば、石けんシャンプーを使うことをおすすめします。ちなみに、シャンプーを使わなければ、髪の毛のタンパク質や脂が過剰に落とされることがないため、トリートメントの必要もなくなりますよ!
次の記事「朝も夜も関係なし! 大切なのは洗髪後に髪の毛と頭皮をよく乾かすことです/抜け毛予防(11)」はこちら。
取材・文/荒井さやか
岡嶋研二(おかじま・けんじ)先生
1978年、熊本大学医学部卒業。1982年、熊本大学大学院医学研究科修了(医学博士取得)。日本学術振興会特定国派遣研究員としてウィーン大学医学部への留学、熊本大学医学部助教授、そして名古屋市立大学大学院医学研究科教授を経て、2012年4月、名古屋Kクリニックを開院。血液学を中心に研究を進め、育毛作用を有するインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やす新たな方法を見いだし、育毛効果を発揮する治療法の開発へと応用している。