円形脱毛症のメカニズムは? いまだに解明できないって本当?/抜け毛予防

pixta_7627348_S.jpg抜け毛は自分とは関係ないと思い、特に気にせず生活していませんか? そんな方は要注意! 髪は抜け始める前からケアすることが重要なのです。特別なことは必要ありません。衣食住を中心とした生活習慣を根本から見直すだけで、数年後の未来の自分の髪に先行投資することができます。最新の科学的根拠をもとに知識を深め、薄毛にならないための生活を今から始めてみませんか。

抜け毛にまつわるさまざまな原因や治療法、ケアなどを薄毛治療の第一人者である岡嶋研二先生に伺います。

前の記事「衣食住を正すと薄毛改善に繋がるというけれど、具体的には?/抜け毛予防(8)」はこちら。

 

円形脱毛症は自己免疫疾患として扱われるので全くの別物

円形脱毛症はストレスから発症する病気の代名詞のように使われることがありますが、原因は毛根の炎症です。本来、体の外から侵入する異物と戦う役割を持ったリンパ球が、なぜか自分の毛根を傷つけ、脱毛を引き起こしてしまうのです。炎症が起きると、リンパ球や白血球が、血管内から、毛根を攻撃するために出ていきます。

これらの細胞は、異物と戦うための武器である活性酸素やタンパク質分解酵素を持っています。白血球が毛根の組織に出て行く際に、これらの武器で血管を傷つけてしまうというわけです。血管は、IGF-1を増やすために重要なプロスタグランジンという物質を作るので、傷つくと脱毛が起こるのです。やっかいなことに、多発する円形脱毛症は、現在の皮膚科治療ではほとんど治らず、IGF-1を増やす治療でのみ、改善します。

 
円形脱毛症の段階的な特徴と治療期間の目安

●単発型
一般的に円形脱毛症といわれる、コイン型の症状。約80%の人が1年以内に自然治癒するといわれますが、ストレスや風邪薬で、次の「多発型」に移行します。

●多発型
円形脱毛症が2つ以上発生するもので、皮膚科治療では、多くの場合、治りません。

●蛇行型
後頭部から側頭部の生え際に沿って脱毛が広がります。皮膚科治療では、難治の脱毛症です。

●全頭脱毛
頭部全体に脱毛が広がっていき、最終的に頭髪が完全に抜け落ちます。やはり、皮膚科治療では、難治です。治療は長期にわたることが多く、治りにくいとされています。

●汎発性脱毛
頭髪だけでなく、眉毛やまつ毛など体毛も抜けます。従来の皮膚科治療では、不治と言っても過言ではありません。

 
円形脱毛症の数が増えると、全頭脱毛や汎発性脱毛になります

「最初にコイン型の円形脱毛症ができ、次第にその数が増えて融合し、広い範囲で脱毛してしまう重症の脱毛症もあります。全頭脱毛は、数本の毛を残して頭髪のほとんどを失ってしまいます。さらに、眉毛やまつ毛など体毛も抜けてしまうと、汎発性脱毛と呼ばれるようになります。

どちらもメカニズムは自分の免疫系が、自分の体(毛根)を傷つけてしまう自己免疫ですが、これらの患者を診ていると、平熱が36度未満の低体温の方が多いようです」と岡嶋先生。

皮膚科での治療方法は、ステロイドの投与や外用が試みられることが多いですが、ほとんど効果はありません。しかも、ステロイドホルモン投与に伴う副作用も問題で、顔が丸くなる「満月様顔貌(まんげつようがんぼう)」や、骨粗鬆症などがあげられます。

また、中高年以降では、糖尿病の悪化などが認められています。しかし、IGF-1を増やす治療では、全頭脱毛までは多くの場合改善します。そして、汎発性脱毛も改善しますが、数年かかる場合が多いようです。

 

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取材・文/荒井さやか

<教えてくれた人>
岡嶋研二(おかじま・けんじ)先生

1978年、熊本大学医学部卒業。1982年、熊本大学大学院医学研究科修了(医学博士取得)。日本学術振興会特定国派遣研究員としてウィーン大学医学部への留学、熊本大学医学部助教授、そして名古屋市立大学大学院医学研究科教授を経て、2012年4月、名古屋Kクリニックを開院。血液学を中心に研究を進め、育毛作用を有するインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やす新たな方法を見いだし、育毛効果を発揮する治療法の開発へと応用している。

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