『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』 (柳沢正史/朝日新聞出版)第2回【全4回】
睡眠不足による悪影響は想像以上です。睡眠研究の第一人者で筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史先生によれば、慢性的に睡眠が不足した状態が続くと、深刻な病気を招いたり、老後の健康にまで影響を及ぼしたりすることもあるそう。先生が監修した『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)は、最新の睡眠科学がわかる一冊です。さらに、睡眠不足からくるパフォーマンス低下や、歯ぎしりや夜中に目が覚めるなどの睡眠中のよくある悩みについても解説しています。早速今晩から、自分の睡眠を見直してみては?
※本記事は柳沢正史 監修の書籍『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』から一部抜粋・編集しました。
一夜漬けをしても記憶は定着しない可能性も
徹夜したときの脳はお酒を飲んだ状態と同じ
学生時代、試験前に一夜漬けをしていた人もいると思いますが、これはまったくおすすめできません。十分な睡眠をとらないと注意力が散漫になり、かえって効率が下がります。徹夜明けの脳のパフォーマンスは、飲酒して酩酊しているときと同じくらいまで低下します。徹夜明けの運転は、重大な事故の引き金になる可能性があります。
睡眠不足は論理的な思考を司る脳の前頭葉が影響を受けるので、普段できていたことができなくなり、余計にイライラしてしまうことも。頑張って徹夜をしても、睡眠をとらないと脳に記憶として定着しませんし、残念ながら意味がないと言えます。
1回の徹夜でもダメージは大きい
徹夜したときの脳の働きは、アルコールが血中に0.1%含まれる状態と同等です。つまり、徹夜明けでの仕事は酔っ払っている状態で作業しているのと同じこと。成果を上げようと徹夜しても、よい結果が得られる可能性は低いでしょう。
睡眠不足は脳のパフォーマンスに直結する
脳の部位が睡眠不足によって影響を受けることで、脳全体の機能が低下し、日常的な認知機能や感情の処理に支障をきたす可能性があります。
効率を上げたいなら一夜漬けをしない
記憶の整理や定着は睡眠中に行われるため、一夜漬けをしても勉強した内容を記憶することができません。また、睡眠が不足すると脳の機能が低下し、これまでに学習した情報も引き出せなくなるため、頑張っても結果につながりにくいのです。