『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』 (柳沢正史/朝日新聞出版)第1回【全4回】
睡眠不足による悪影響は想像以上です。睡眠研究の第一人者で筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授の柳沢正史先生によれば、慢性的に睡眠が不足した状態が続くと、深刻な病気を招いたり、老後の健康にまで影響を及ぼしたりすることもあるそう。先生が監修した『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』(朝日新聞出版)は、最新の睡眠科学がわかる一冊です。さらに、睡眠不足からくるパフォーマンス低下や、歯ぎしりや夜中に目が覚めるなどの睡眠中のよくある悩みについても解説しています。早速今晩から、自分の睡眠を見直してみては?
※本記事は柳沢正史 監修の書籍『快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本』から一部抜粋・編集しました。
睡眠不足はダイエットの敵!
寝る子は育つが寝ない大人は横に育つ
睡眠不足になると、食欲を抑制するホルモン(レプチン)の分泌が減少し、食欲増進ホルモン(グレリン)の分泌が増加します。脳は特に高カロリーな食品や甘いものを求めやすくなります。さらに、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増加させ、脂肪の蓄積を促進します。
また、睡眠不足によって疲労感が高まると、運動量が低下します。その上、覚醒時間が長いことで食事や間食の機会が増え、カロリーの摂取量がさらに増加しやすくなります。
起きている時間が長いほうがカロリーを消費して痩せるような気がしますが、実際はそうではなく、むしろ太りやすくなるのです。
睡眠不足だとメタボになりやすい
睡眠不足は食欲を増進させるため、食事制限がかなりのストレスに。さらに、睡眠不足自体もストレスホルモンの分泌を増加させ、脂肪の蓄積を促進します。これらの要因が重なることで、メタボや肥満のリスクが高まります。
※ メタボ(メタボリックシンドローム):腹囲が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れている状態のこと。
7時間以上の睡眠がとれている人
【メタボ重症度リスク】低い
睡眠に問題がある人
【メタボ重症度リスク】高い
・摂取カロリーが増える
・内臓脂肪が増える
・肥満のせいで睡眠時無呼吸が悪化し、さらに睡眠の質が悪くなり、悪循環に陥る
エクササイズや食事制限を頑張ろうと思っても、睡眠不足を解消しないことには、なかなか成果は上がりません。
睡眠不足で摂取カロリー・体重・内臓脂肪が増加
アメリカで行われた研究で、健康な人を4時間睡眠のグループと9時間睡眠のグループに分けてそれぞれ2週間を過ごした結果、睡眠時間が短くなると、食欲を抑制するホルモン、レプチンの血中濃度は低下し、一方で食欲を増進させるホルモン、グレリンの血中濃度は上昇するということが明らかになりました。
睡眠が摂取カロリーを減らす
十分な睡眠を確保することで、ホルモンのバランスが整い、食欲がコントロールできるようになります。また、睡眠中に身体がリフレッシュされるため、疲れやストレスが軽減されて、過剰な食事を抑制してくれます。