痛みで歩行が困難に...。注意すべき「変形性股関節症」について医師の大嶋浩文先生が解説

症状の進み方

<正常>

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<進行期>

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<末期>

痛みで歩行が困難に...。注意すべき「変形性股関節症」について医師の大嶋浩文先生が解説 2403_P070-071_04.jpg・一次性 変形性股関節症:股関節への負荷により発症するもの→肥満の欧米人に多い
・二次性 変形性股関節症:寛骨臼形成不全、発育性股関節形成不全により発症するもの→日本人に多い(約9割)

股関節にかかる負荷はひざの痛みの原因にも

「寛骨臼形成不全のような原因により発症する変形性股関節症を『二次性』といいます。日本人はこの二次性が圧倒的に多く、欧米人は、通常の股関節への負荷により発症する『一次性』の人が多く見られます。股関節には体重の3~5倍の負荷がかかりますが、欧米人は肥満の人が多く、寛骨臼形成不全などがなくても、体重によって股関節が変形しやすいのです」と、大嶋先生。

日本人は二次性の変形性股関節症の人が多いとはいっても、体重が増えることも骨の変形の原因になります。

例えば、体重が5kg増えると、股関節には15~25kgもの負荷が増すようになります。

そもそも女性の筋肉量は、男性と比べて少ない上、運動不足の場合はさらに減ります。

その状態で体重が増えると、股関節に大きな負荷をかけてしまいます。

加えて、ひざに悪影響を及ぼすことも。

「変形性股関節症により関節の可動域が狭くなると、O脚やX脚になることがあります。そのまま歩き続けるとひざにダメージを与え、変形性膝関節症の根本的な原因となります。実際、ひざ痛で受診した患者さんの骨を検査したら、変形性股関節症だったというケースも珍しくはありません」と、大嶋先生は話します。

手術を怖がらず早めに適切な治療を

予防や初期の治療において、大切な点は二つあります。

一つは運動を習慣化して股関節を支える脚の筋肉量を増やすこと、もう一つは股関節への負荷を減らす生活を送ることです。

これにより骨への負担が軽減されます。

「基本はこの二つですが、骨の変形が進行して歩くこともできず、日常生活に支障が生じている場合は、手術が選択肢となります。人工関節置換術など、近年、その素材や技術は格段に進歩しています」と、大嶋先生。

2019年には、ロボットを使った人工関節置換術も保険の適用となりました。

その精度はより向上し、使用する人工関節は新素材の登場によって耐久性が高まっており、術後の患者の満足度が非常に高い治療法となっています。

「『手術は怖いから』と痛みや歩きにくさを我慢して症状を進行させる前に、整形外科を受診しましょう。股関節の状態を知った上で、自分に合った治療法を医師と選択することをおすすめします」

構成/岡田知子(BLOOM) 取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

NTT 東日本関東病院  人工関節センター  センター長
大嶋浩文(おおしま・ひろふみ)先生

2004年、弘前大学医学部卒。JR東京総合病院や東京大学医学部附属病院などを経て18年より現職。日本人工関節学会認定医、ロボティックアーム支援人工股関節置換術指導者などの資格を有し、数多くの治療を行う。

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