ふと鏡を見たら、「まぶたや目の下がたるんでいる」「くまが濃くなって疲れて見える」などでがっかりしたという経験はありませんか? 目の周りにたるみやくまができると、実際の年齢に関係なく、老けた印象を与えてしまいます。そこで、皮膚科医で「ウォブ クリニック中目黒」総院長の髙瀬聡子先生に、目元やまぶたのたるみやくまの正しい対処法を教えていただきました。
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肝臓疾患、甲状腺異常症など、思わぬ病気も
目の下のくまは、血行不良や色素沈着、老化によるたるみなどが原因だとお話ししました。ですが、実は、体の不調のサインとして、くまが現れることがあります。
「くまだとばかり思っていたら重大な病気が隠れていることもありますので、症状が長く続く場合は、一度、医療機関を受診するのがおすすめです」と髙瀬先生。下記は、症状の一つとして、目の下にくまが現れることがある代表的な病気です。
【目の下にくまが現れる病気】
●貧血症
鉄分が不足し、血液中のヘモグロビンが減ることで青ぐまを引き起こします。若い女性に多い病気で、体が疲れやすい、だるいなどの症状と共にくまが出るようになったら注意しましょう。
●バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
バセドウ病は、のどぼとけの下にある甲状腺でつくられる甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こる病気。症状の一つに、眼球が突出することがあります。眼球が突出すると眼球の下にある眼窩脂肪がせり出してきてたるみのようになり、目の下に影ができ、黒ぐまができます。
●肝臓疾患・腎臓疾患(肝機能・腎機能の低下)
肝臓や腎臓へ過度な負担をかけて機能が低下すると、血流が悪くなり青ぐまができます。お酒や甘い物を過度に摂取したり、過労などによって臓器が疲れているときにも起こりやすいので、生活習慣の改善を心がけましょう。
●アトピー性皮膚炎、花粉症皮膚炎
目の周り全体がくすんでいる場合は、アトピー性皮膚炎や花粉症皮膚炎の可能性があります。目の周りの皮膚に、ハウスダストや花粉などのアレルギー成分が付着して炎症を起こし、色素沈着による茶ぐまを引き起こします。放置すると深刻なシミになるので、早めに医療機関の受診が必要です。
●うつ病
うつ病になると、両目と口の周りが青白くなります。これは自律神経の異常によって、目の周りの筋肉(眼輪筋)や口の周りの筋肉(口輪筋)に血液が正常に流れなくなり、血行不良を起こしているためです。
このように、くまが現れる病気にはさまざまなものがあります。単なるくまだと軽視せず、思い当たることがあったら早めに病院で相談しましょう。
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取材・文/笑(寳田真由美)
髙瀬聡子(たかせ・あきこ)先生
皮膚科医。東京・中目黒にある美容皮膚科クリニック「ウォブ クリニック中目黒」総院長。「高機能・高実感」と「ラグジュアリー・クオリティ」を同時に叶える化粧品「アンプルール」を研究開発。著書に『気になるパーツのスキンケア 2週間速効メソッド』(宝島社)など。雑誌、テレビ出演などさまざまな分野で活躍中。