病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。
書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。
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血糖値が60㎎/dL以下になったら要注意
「低血糖症」
●ブドウ糖を早めに摂取する
「低血糖症」とは、血液中のブドウ糖の量が少なくなりすぎたために現れる、特有の神経症状のことです。低血糖の状態に陥(おちい)ると、発汗や動悸(どうき)、脱力感など交感神経症状のほか、意識が消失したり、昏睡(こんすい)になるので注意が必要です。
一般的には血糖値が60㎎ /dL以下を低血糖といいますが、この状態を放置していると脳に障害を残すことにもなりかねません。なぜなら、脳がエネルギーにできるのはブドウ糖しかないからです。
低血糖はどのようなときに起こりやすいかといえば、食事量や糖分(ご飯やうどんなど)の摂取(せっしゅ)が通常よりも極端に少なかったとき、空腹時に運動量を増やしたとき、アルコールを通常よりも多く飲んでしまったときなどが挙げられます。
また、すでに医師に診断してもらっている人の場合、血糖値を下げる薬やインスリンを多く摂取してしまったときや、薬やインスリンを摂取したあとの食事開始が遅れたときなども起こり得ます。
糖尿病の患者さんがインスリン注射や経口血糖降下剤を使用している中で、震えが止まらなかったり、動悸、発汗が見られるようであれば、それは下がりすぎの証拠です。低血糖だなと気付いたら、すぐに甘い物を口にするようにしましょう。ブドウ糖や、ブドウ糖を含む清涼飲料水や、缶コーヒーなどのショ糖を含む飲み物でも構いません。
ちなみに、低血糖とは逆の高血糖の患者さんの場合、たとえば、数値が300㎎ /dLというような高いものである場合、血糖値を急激に下げると、低血糖症に似た症状が出ることもあります。
ですから、このような場合は数週間ないし数か月にわたってゆっくりと数値を下げることが望ましいでしょう。
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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)
1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。
『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)
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