失明の危機でもやめられなかった酒を断てたアルコール外来

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ペンネーム:はっぽーしゅ
性別:男
年齢:56
プロフィール:父は要介護4、母は要支援2ですが、近所に住む姉妹が献身的に見てくれており、そちらは助かっています。ただ自身が自堕落生活から生活習慣病のデパートで、アルコール依存症と診断されたことも。

糖尿病対策は結局のところ、カロリー制限以外には存在しない

若い頃から調子に乗って、暴飲暴食を重ねてきた私。うなぎ上りの血糖値もHbA1cも、なかば病気自慢の勲章みたいな感覚で笑い飛ばしていた中、50歳を目前に糖尿病の合併症による失明の危機を指摘されました。
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さすがに「こりゃやばい」と心底震えあがり、真剣に治療と向き合い始めましたが、結局のところ糖尿病って、カロリーコントロール以外に抜本的な対策はないんですね。運動療法もそれなりに効果はあるようですが、だからといって食べ過ぎ飲み過ぎていたのでは元も子もない。カロリーコントロールを補完する以上は望めません。

というわけで、摂取するカロリー量を減らそう。何を?カロリーだけ高いくせに、体に全然必要ではないもの。むしろ災難をもたらしがちなもの...。どうしても認めたくなかったのですが、酒を減らす結論に至るしかありませんでした。

だからといって、そう簡単に止められるわけがない。うしろめたさと自己嫌悪によるストレスか、かえって酒量は増す始末。そんな折、連日の泥酔によるものか、引き受けた仕事を忘れていて、全体の進行を止めてしまうという大失態をしてしまいました。上司(もちろん年下)から大目玉を食らって、アルコール外来への通院を促されました。

お酒を止める気にさせてくれるアルコール外来

結果的に、自分はアルコール依存症ー少なくとも重度のーではなかったようですが、お酒を止める気にさせてくれたのは確かに、アルコール外来でした。飲み過ぎることの恐怖を極めて効果的に、感じさせてくれたからです。
アルコール依存症治療の中核は、ミーティングと呼ばれる患者同士の体験発表会です。これがまあ、強烈。本来は明るく楽しくなるはずの飲み物に逆に憑りつかれて、家庭も社会的立場も滅茶苦茶になっていく皆さんのお話の、なんとリアリティにあふれて恐ろしいことか。

人づてに聞いたり本で読んだりするのとは全然違う、まさにご本人が目の前で語る実体験。治療中の皆さんは、その場では酒の匂いも一切しない、ごく普通の、というかむしろ真面目で大人しそうな方々なのです。

そんな「普通の人」が淡々と語る、壊れてしまって取返しのつかない人生。失った家庭、二度と会えない娘さん。失った仕事、そして復帰しようにももはや言うことを利かない肉体。そんな実話を、目の前で話しておられる当事者。今ここで踏みとどまれるなら、何としても踏みとどまらなければ、と強く思わされました。

結果的に、このアルコール外来がきっかけでお酒を止めることができました。人生を棒に振る前に踏みとどまらせてもらえたことに感謝しています。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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