大根の漬物が87種類! 日本は発酵食・漬物大国です/発酵食

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みそ、酒、しょうゆ、酢、みりん、ヨーグルト、チーズ、かつお節、納豆、茶、漬物、甘酒......私たちの食生活で「おいしさの鍵になるもの」「体に良いといわれるもの」を考えてみると、それらの中には、発酵食品がたくさんあります。発酵学の専門家で世界中の発酵食品を食べ歩いてきた小泉武夫先生に、発酵食品について聞きました。

前の記事「腐りにくくなる、栄養価が高くなる...発酵食品はこんなにすごい!/発酵食(1)」はこちら。

◇◇◇

「日本で発酵食品が発展したのは、水が豊かな土地であることの影響が大きいでしょう。海に囲まれ、陸の中央には山を頂く"馬の背"の地形によって伏流水が豊富です。平地には田んぼが広がる稲作文化で、コメからは、みそ、しょうゆ、酒、米酢、米焼酎など何種類もの発酵食品が作られます」

小泉先生によると、日本は世界で最も発酵食品の種類が多岐にわたっているそうです。北海道の海産物を使った松前漬け、北日本のハタハタずし、東京のべったら漬け、滋賀県の鮒(ふな)ずし、奈良県の奈良漬け、岡山県のママカリ酢漬け、鹿児島は薩摩大根の山川(やまがわ)漬けなど......。大根の漬物だけでも種類、発酵食品全体では600種類以上といわれています。

「和食が体にいいことはよく知られています。『一汁三菜』のうち、汁はみそ汁とご飯、そして三菜のうちの一品は香の物。これだけでも二種類の発酵食品を食べることになり、納豆を加えれば三種類になります。鮭の麹漬けなどを食べれば、全ての品が発酵食品になることも。

みそ汁は塩分の量が気になる人もいると思いますが、みそには血圧の上昇を抑制する効果もあります。がんを予防する作用など、優れた機能があり、健康長寿のためにもみそはおすすめです」

みそは、大豆と麹に塩を入れて発酵させたもの。調味料として料理の味付けに使ったり、そのまま食材につけて食べたり、汁にしたり、食材をみそ漬けにして保存に利用することもできます。大豆に含まれるたんぱく質は16~17%と高く、豆みそで18%ほど(和牛で17~18%)。

みそは昔から日本人にとって貴重なたんぱく源でした。発酵によって栄養価が高まることは前述の通りですが、他に(1)血圧上昇の抑制 (2)放射線からの防御 (3)抗腫瘍性 (4)抗変異原性 (5)抗酸化 の作用があることが分かっています。

「ご飯とみそ汁の組み合わせは言うまでもなく、みそは何に合わせてもおいしいですね。魚や肉にも合います。私はみそ汁にぶつ切りにしたさんまを入れるのが大好きです。まぐろやかつおのみそ漬けも。豚ロースのみそ漬けは、脂が少し焦げるくらいに焼くとたまりませんね」

 
昆布のみそ漬けでご飯が進む

小泉先生は福島県の造り酒屋に生まれ、幼い頃から発酵食品が身近にありました。思い出深い味は「乾板(かしいた)のみそ漬け」です。

「『乾板』とは昆布の異名なんです。酒を造る杜氏さんが、自分たちが食べるみそを桶に仕込んで地元へ帰っていくのですが、父は北海道の日高から乾板を取り寄せておいて、発酵したみその中に突き刺すんです。乾板は幅7cm、長さ1mほどのものを50~60本。それを杜氏さんが戻る前に引き抜いてしまうんですけどね(笑)。引き抜くのは子どもだった私の役目でした。数カ月たって、硬かった昆布が柔らかくなり、べっ甲色に光って美しい。それを帯のように畳んで、せん切りにして、ご飯の上にたっぷりとのせる。みそには昆布のうま味が移り、昆布にはみそのうま味が染み込んでいますからね。昆布にはぬめりも出て、それだけで何杯でもご飯が進みます」

伝統の中、家庭の中に、まだまだ知られていないおいしい発酵食品が隠れていそうです。「奥が深い発酵食品の世界で、まだまだ新しいおいしさに出合うのを楽しみにしています」

  

小泉流 超カンタン発酵ごはんレシピ

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「焼き納豆丼」
香ばしい焼き納豆の香りが食欲をそそります。

1人分 550kcal
塩分 1.1g

<材料(1人分)>
納豆...1パック
卵...1個
ご飯...適宜
削り節...適宜
しょうゆ...適宜
サラダ油...大さじ1

<作り方>
1. フライパンにサラダ油をひき、納豆を塊のまま入れ、中央にくぼみを作る。そこに卵を割り入れる。
2. 1にどんぶりを逆さにかぶせて、3分間蒸し焼きにする。
3. どんぶりを取る(熱いので注意)。どんぶりにご飯を7分目ほど入れ、2をのせ、削り節としょうゆをかける。

◎おいしさポイント
納豆と削り節の香ばしさが食欲をそそります。実は削り節もカビで発酵させた発酵食品なのです。たんぱく質たっぷりで腹持ちも良いですよ!

 

1803p015_01.jpg「ネバネバーダ」
体にいいネバネバするものを、これでもか!とばかりに投入します。

1人分 265kcal
塩分 0.6g

<材料(2~3人分)>
納豆...3パック
卵...3個
山いも...20cm
なめこの缶詰...1缶
オクラ...3本
しょうゆ...大さじ1/2

<作り方>
1. ボウルに納豆を入れてかき混ぜ、卵を割り入れてよくかき混ぜる。
2. 山いもをすりおろして、1に入れる。なめこの缶詰は汁ごと1に入れる。オクラをさっとゆでて、みじん切りにして1に入れる。
3. 2にしょうゆを入れ、かき混ぜる。

◎おいしさポイント
スプーンですくってそのまま食べても良し、ご飯や冷ややっこにかけても良し。粘り成分が血中の老廃物を排出して、糖の吸収も抑えます。

 

次の記事「調理不要! そのまま食べるだけで免疫力アップする発酵食品は?/発酵食(3)」はこちら。

取材・文/三村路子

<教えてくれた人>
小泉武夫(こいずみ・たけお)先生

1943年、福島県生まれ。実家は酒造業。農学博士。文筆家、東京農業大学名誉教授。専門は醸造学、発酵学。著書に『超能力微生物』(文春新書)など160冊以上。

この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の情報です。

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