「賢い電話」を使いすぎるとバカになる!?/鎌田實「だまされない」

pixta_36978342_S.jpgテレビやネットにあふれるあやしげな健康情報や社会の思い込み。あなたはいつのまにか信じてしまっていませんか?

だまされないでください。
医師にして作家である鎌田實が50年近く医療に携わることで気づいた、健康のための王道をまとめた書籍『だまされない』で、「健康で幸せに生きるという目標」を達成するための技術を身に付けましょう。

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前の記事「セロトニンを働かせて自分を幸せにしよう/鎌田實「だまされない」」はこちら。

 

スマートフォンに遊ばれてはダメ

総務省が発表した『情報通信白書』2017年版によると、2010年のスマートフォンの世帯保有率は9.7%だったのに対し、2016年には71.8%。急速に普及しています。老いも若きもスマートフォンに夢中......というわけでしょうか。
 

笑わない欅坂46がいい

ご多分に漏れず、僕もスマートフォンを使っています。僕が持っているのはiPhoneで、パソコン宛てに来たメールはiPhoneでも見られるようにしています。

僕は外国にいることも多いのですが、Wi-Fi(ワイファイ)さえつながれば、イラクの難民キャンプにいるときでも、日本の出版社と原稿のやり取りができます。1日のスケジュールもiPhoneで確認しています。

電車に乗ったときは無線のイヤホンを使って、X JAPANや欅坂46を聴いたりしています。あるとき、欅坂46の「不協和音」という曲が気に入ったので、グーグルで「不協和音」について調べてみました。すると、モーツァルトの弦楽四重奏曲のなかにも「不協和音」という曲があることがわかりました。すぐさまユーチューブでその曲そのものを聴くことができます。「不協和音」のプロモーションビデオはアイドルグループなのに笑わないのがいい。

「一度妥協したら死んだも同然 支配したいなら僕を倒してから行けよ!」
そうだそうだと思いながら、「オレはオレを取り巻くすべてのことに簡単にはだまされないぞ」なんて思いながら旅をしているのです。

電車に揺られているだけの時間でも、スマートフォンを使うことによって、次々に世界が広がっていくのを感じています。
 

「賢い電話」を使ってバカになる

しかし一方で、スマートフォンを使い続けていると、脳の司令塔である前頭前野が使いすぎの状態になり、機能が停止してフリーズ状態になったり、炎症を起こし始めることがあると言います。

前頭前野は、短期的な記憶についてざっと考えたり、ある物事について深く考えたり、ぼんやりと考えたりする、最も人間らしい「思考」をつかさどる場所です。この3つの思考力がうまく働くことで、脳が正しい判断を下せるのです。

僕は「ぼんやり名人」だと思っています。景色に吸い込まれたり、本のなかに入り込んでしまったりと、外界が見えなくなっているときがあります。僕の幸せな時間です。

ところが、デジタル機器がもたらす膨大な情報がつねに前頭前野に送り込まれると、脳も限界を超えて「脳過労状態」になり、思考力や記憶力が低下したり、集中できなくなったりするのです。

スマートフォン自体はたしかに「賢い電話」かもしれません。でも、それを使う側が賢さとは対極の存在になっていくとしたら......これほど皮肉なネーミングはありませんね。

 

※『毎日が発見』本誌に連載した記事はこちら

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鎌田 實(かまた・みのる)さん
鎌田 實(かまた・みのる)

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県茅野市の諏訪中央病院医師として、患者の心のケアまで含めた地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。1988年に同病院院長に、2005年から名誉院長に就任。また1991年からチェルノブイリ事故被災者の救援活動を開始し、2004年からはイラクへの医療支援も開始。4つの小児病院へ毎月400万円分の薬を送り続けている。著書に『がんばらない』『あきらめない』『なげださない』ほか多数。

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『だまされない』
(鎌田 實/KADOKAWA)

社会は人をだます。人も自分をだます。実は自分の身体すらも自分をだましにかかってくる。そんな環境に生きながらも、幸せに生きるためにはなにを知るべきか、どうすべきか、どう考えるべきか。医師にして作家である鎌田實が、その答えに迫ります。健康問題から社会問題まで、翻弄される人々の目覚めを促す言葉の劇薬!

この記事は書籍『だまされない』からの抜粋です

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