ココナッツミルクにバナナ...テレビで健康にはなりません/鎌田實「だまされない」

pixta_35959453_S.jpgテレビやネットにあふれるあやしげな健康情報や社会の思い込み。あなたはいつのまにか信じてしまっていませんか?

だまされないでください。
医師にして作家である鎌田實が50年近く医療に携わることで気づいた、健康のための王道をまとめた書籍『だまされない』で、「健康で幸せに生きるという目標」を達成するための技術を身に付けましょう。

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野菜で筋肉内脂肪を減らせ

アメリカで行われた研究によると、野菜食による食事制限は、カロリーを制限した通常食に比べて、同じ期間で約2倍もの体重減少が認められました。さらに、筋肉の質を悪化させ、運動機能を低下させることで最近注目されている〈筋肉内脂肪〉が、野菜食の場合、有意に減少していること、糖代謝機能が改善されていることも明らかになりました。

野菜食が肥満、糖尿病をより早く改善させ、さらには筋肉の劣化にともなう運動機能の低下を防ぐ可能性があることがわかってきました。ダイエットには絶対に野菜中心の食事を心がけましょう。タンパク質はしっかり食べて、糖質と脂質は少し減らすことです。

 

快感ホルモンで一度成功を味わえ

私たちの脳では、一度目標を達成すると、快感物質であるドーパミンが分泌されます。すると、脳はまた快感を得たいために、次の成功に向けて持続力や集中力を高めます。事業で成功してきた社長さんも、初めての成功体験で、ドーパミンの分泌を経験したときの快感が大きかったはずです。あとは成功のために、次々に努力できるようになるのです。

ダイエットは「毎食野菜を食べる」「1日15分歩く」など、小さな目標を一つひとつ達成する快感を得ながら続けていくことがコツと言えそうです。一度体重が減ると、ドーパミンがやる気に火をつけてくれるのです。

 

テレビで健康にはならない

各テレビ局が健康番組を放送し、どれも視聴率が高いようです。健康番組を見続けている健康オタクな人が多いからでしょう。そのわりには健康な人が増えた実感はありません。なぜでしょう。

その理由は、テレビでは〈行動変容〉が起きにくいからです。生活習慣を変えることを、「行動変容を起こす」と言います。しかし、一度身につけてしまった生活習慣を変えるのは大変です。繰り返し刺激を与えられないと、行動変容は起きません。

テレビ番組をつくる側の人たちにとって、最大の目標は視聴率です。もちろんいい番組をつくろうとはしていますが、最も大切にしているのは視聴率です。見ている人を健康にするというのは、二の次なのです。

たとえばココナッツミルクを飲むと認知症になりにくい、という説が一時流行しました。「なるほど」と思いメモする。数日後、スーパーへ行ったが、買うのを忘れた。またスーパーに行ったときに買えばいいと思っているうちに翌週になると、今度は朝食にバナナがいいと言う。「朝バナナ」もヒットしましたね。

本当はもう1週続けてココナッツミルクを取り上げてくれたら行動変容が起きやすくなるのですが、番組制作者の一番の目標は視聴率ですから、飽きられないように違うテーマを選びます。視聴者はまんまと乗せられるのです。そして毎回おもしろいけれど、忘れてしまう......。

 

人生を黄色くするな

「朝バナナ」がはやったとき、バナナは食物繊維が豊富なのでいいのですが、いかにもテレビらしいなあと思いました。毎朝バナナを食べる生活を1週間も続けるのは難行です。3週間も続ければ、苦行です。2カ月くらい続けると、もはや修行です。健康は幸せになるための道具です。難行苦行修行をするためではありません。

毎朝バナナを食べなきゃいけない生活に僕は幸せを感じません。もし10年も毎朝バナナ生活を続けていたら、人生が黄色くなってしまいます。

毎朝食物繊維を食べればいいというのが正解です。そのなかにバナナもあるというだけです。今日バナナを食べたら明日は野菜。次の日は海藻でもいいし、きのこでもいい。食物繊維をとれば腸によく、免疫細胞が活性化される可能性があります。血糖値が急激に上がることもなくなりますから、慢性炎症も起きにくくなります。

テレビでは行動変容が起きにくいということを承知しておくことが大事です。この本では随所で同じことを繰り返しますが、それは行動変容を促したいからです。健康づくりにとって大事なことは、シンプルに行動することです。長野県が長寿日本一になったときも、特別なことはしていませんでした。この本に書いてあることを確実にやっていただければ、健康長寿を達成できる可能性は高くなると思います。

 

※『毎日が発見』本誌に連載した記事はこちら

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鎌田 實(かまた・みのる)さん
鎌田 實(かまた・みのる)

1948年東京生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県茅野市の諏訪中央病院医師として、患者の心のケアまで含めた地域一体型の医療に携わり、長野県を健康長寿県に導いた。1988年に同病院院長に、2005年から名誉院長に就任。また1991年からチェルノブイリ事故被災者の救援活動を開始し、2004年からはイラクへの医療支援も開始。4つの小児病院へ毎月400万円分の薬を送り続けている。著書に『がんばらない』『あきらめない』『なげださない』ほか多数。

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『だまされない』
(鎌田 實/KADOKAWA)

社会は人をだます。人も自分をだます。実は自分の身体すらも自分をだましにかかってくる。そんな環境に生きながらも、幸せに生きるためにはなにを知るべきか、どうすべきか、どう考えるべきか。医師にして作家である鎌田實が、その答えに迫ります。健康問題から社会問題まで、翻弄される人々の目覚めを促す言葉の劇薬!

この記事は書籍『だまされない』からの抜粋です

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