白濱先生監修の、すぐに眠れて朝まで起きない「ぐっすりストレッチ」と一緒に行うとさらにぐっすり眠れる、4つのコツを紹介します。
前の記事「布団に入ってから。足首を曲げて深呼吸「ぐっすりストレッチ」ステップ3/ぐっすり眠れる方法(6)」はこちら。
蒸しタオルで目を温める
寝る前に目の周辺を温めると、血行が促されて緊張をほぐしてくれます。また副交感神経も優位に働くのです。蒸しタオルぬらしたタオルをよく絞り、二つ折りにしてくるくる巻いて500Wの電子レンジで約1分間加熱します。ポイントは、蒸しタオルの温度を上げすぎないこと。目の上にのせたとき、ほんのり温かいくらいが眠気を誘います。
大切なのは朝食時のみそ汁
朝食にみそ汁中心の和食を摂るようにします。大豆成分のトリプトファンは、体内で精神を安定させるホルモン「セロトニン」に変わります。セロトニンは約10時間後、睡眠を促すホルモン「メラトニン」に変化。朝食で大豆製品を摂れば、セロトニンやメラトニンが十分に分泌されます。つまり、朝のみそ汁が良い睡眠につながるのです。
20分入浴で深部体温を上げる
お風呂は寝る時間の1~2時間前に入るようにします。入浴で深部体温が上がり、湯上り後に深部体温が下がっていく過程で、眠気が起きるからです。ステップ1のシャワーに加えて、湯船に20分浸かるのが理想です。時間がないときには、炭酸入浴剤がおすすめ。10分ほどの入浴で、深部体温を上げることができます。
湯たんぽを入れたままにしない
冬は布団に湯たんぽを入れる人が増えます。しかし、湯たんぽは寝る前に、布団を暖めるために使うのが望ましいです。湯たんぽを入れたまま寝てしまうと、足は温まるかもしれませんが、体から熱の放散ができません。深部体温が下がらず、質の良い睡眠がとれないのです。同様に、靴下をはいて寝るのも避けた方がいいでしょう。
睡眠Q&A
睡眠についての疑問を白濱先生にお聞きしました。
Q お酒を飲むと
よく眠れるのですか?
A 眠りが浅くなり途中も起きることも。
お酒を飲むと気分がリラックスして眠気が訪れます。夜、眠れないからと、お酒を飲んで寝る人も多いようです。お酒は寝つきをよくするのですが、体内で吸収されるときに交感神経を刺激します。そのため深睡眠が減って眠りが浅くなり、夜中や早朝に目が覚める原因になってしまいます。
また、寝酒が毎晩の習慣になると、お酒を飲まないと眠れなくなってしまいます。しかも体がお酒に慣れて、飲む量がどんどん増えていきます。寝酒をやめたいと思っても、やめられなくなってしまうのです。健康のためには、お酒を飲むのは就寝の3時間前までにするように気を付けることです。
Q 眠れないときは睡眠薬を
飲んでもいいですか?
A 薬は病院で処方してもらいます
睡眠薬にはマイナスイメージがつきまとい、罪悪感を持ちながら使っているも多いようです。
しかし、眠れない日が続いて体に不調が出てきた場合などには、上手に取り入れるのも一つの方法だといえます。睡眠薬を使うときに注意しなければいけないのは、必ず専門医や内科医などに処方してもらった薬を使うということです。医師とよく相談して、依存性が低く、体への負担が少ないタイプの睡眠薬を最小限で使うようにします。危険なのは、市販の風邪薬や花粉症治療薬を睡眠薬の代わりに使うこと。過剰な眠気を感じ、運転時の居眠りなどにつながるので、絶対にやめましょう。
取材・文/松澤ゆかり、山川寿美恵 イラスト/堀江篤史
白濱龍太郎(しらはま・りゅうたろう)先生
睡眠、呼吸器内科、在宅医療専門クリニック「RESM新横浜」院長。筑波大学医学群医学類卒業。東京医科歯科大学大学院統合呼吸器病学修了。2013年から現職。メディア出演、著書など「睡眠」の分野で注目されている医師。著書に『誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法』(アスコム)などがある。