子どもが怪我や病気をしたらどう対応すれば良いでしょうか。すぐに救急? かかりつけ医でOK? わからないことばかりで不安を抱えているパパ・ママも多いはず。そこで今回は小児科医が書いた「ママ・パパ向け 家庭の医学」である『行列のできる子ども健康相談室 0~10歳児の病気とケガのおうちケア』を紹介します。著者は「たけつな小児科クリニック院長」で、年間約3万人の子どもを診る小児科医・竹綱庸仁先生。子育ての不安を解消するアドバイスが満載の本書から、内容を抜粋してお届けします。
※本記事は竹綱庸仁 著の書籍『行列のできる子ども健康相談室』から一部抜粋・編集しました。
【前回】小児科医監修!子どもの「予防接種」スケジュール一覧。「なぜ多くの種類を打つの?」悩みや疑問も解決
蜂さされ、蛇やペットに噛まれたら病院で治療を
虫さされ(虫刺症)・動物咬症
夏になると、草むらや川など虫がたくさんいる場所で遊んで、虫にさされる機会が増えます。
虫さされは、衣服に覆われていない露出した手足に多くみられます。
そのため、衣服の下にできた湿疹は、虫さされではない原因を考えた方がよいかもしれません。
虫さされによる湿疹は、赤みがあり少し盛り上がっていて、さし口があるのが特徴です。
かゆみや痛みを伴い、複数できることも少なくありません。
虫さされの原因で多いのは、蚊やダニです。
ほとんどの症状は緊急性がなく、ステロイドや非ステロイド系外用剤で軽快します。
ただし、蜂にさされたとき、蛇やペットに噛まれたときは、抗生剤を含めた特殊な治療が必要となります。
救急or病院 チェックリスト
救急車を ★★★ 夜間・休日診療へ ★★☆ かかりつけ医の診察時間に受診 ★☆☆
□ 蜂にさされたとき
・呼吸困難、意識がない、けいれんしている ★★★
・冷や汗をかいている、呼吸が早い、ぐったりしている ★★☆
□ 蛇やペットに噛まれた ★★☆
□ 虫にさされた部分がパンパンに腫れている ★☆☆
□ 虫にさされた部分のかゆみが強い ★☆☆
治療
●かゆみはかかずに塗り薬を
虫さされは、かきむしると雑菌が入って炎症が起き、皮膚が赤くパンパンに腫れる蜂窩織炎になることも。ステロイドなどの抗炎症剤や抗生剤入りの塗り薬でかゆみを抑えましょう。かゆみがひどい場合は抗アレルギー内服薬で治療します。
●ペットに噛まれたら、洗う
犬、猫などのペットの口の中は雑菌が多いので、噛まれたら患部を流水でしっかり洗って病院で受診を。治療では、細菌感染を防ぐ抗生剤を投与します。
●蛇に噛まれたらすぐ病院へ
蛇は、種類により噛まれたときの症状が異なります。例えば、マムシは腫れが強く出て、ヤマカガシは出血が長引きます。どの場合も入院治療が必要なので、できるだけ早く病院を受診してください。
●蜂は毒と針を抜き、すぐ受診
蜂に複数回さされたときは要注意です。湿疹や呼吸困難、血圧低下などアナフィラキシーといわれる状態となり、命の危険性があるからです。蜂にさされたら、まずは毒素を口で吸い出し、針が残っていれば抜きます。そして、ただちに病院を受診してください。
《教えて! たけつな先生》
子どもの頭にしらみが! 対処法は?
しらみの正式名称はアタマジラミで、髪の毛に寄生し、皮膚から血を吸います。ドラッグストアで売っている「スミスリン(R)シャンプー️」を10日間ほど使用して、駆除します。寝具や衣類を介して家族にうつる可能性があるので、子どもの頭にしらみを見つけたら、シーツや衣類は毎日洗濯を。その際、55℃以上のお湯に5 分以上浸けてから洗ったり、乾燥機にかけたり、アイロンがけをするなどの感染対策をしましょう。
イラスト/堀川直子