手指の痛みやしびれに悩まされていませんか? 50歳前後になるとこの悩みを抱えている女性は多いようです。今回は、京都大学医学部附属病院 リハビリテーション科 准教授の池口良輔(いけぐち・りょうすけ)先生に「手指のトラブル」についてお聞きしました。
痛みやしびれは手指を動かして改善
手指の痛みやしびれなどを訴えるのは圧倒的に女性が多く、特に50歳前後から増加します。
「手指のトラブルは、閉経による女性ホルモンの減少や手指の使い過ぎ、遺伝的要素、肥満などの要因が重なって発症することが多くみられます」と、池口良輔先生。
手指にトラブルを感じたら、早めに対処することが肝心です。
違和感を覚えたら「1分指ストレッチ」のような手指のエクササイズに取り組むのが効果的だと池口先生。
「指の曲げ伸ばしなどで関節を刺激する簡単な体操ですが、痛みの軽減や握力アップに役立ちます」
症状に合わせた手指の体操で、指の健康を保ちましょう。
1分指ストレッチをやるときは
一つ一つの動作をゆっくりと行う
朝、昼、夜の1日3回行う
手指を温めてから行う入浴後はベストタイム
手指に強い痛みや腫れがあるときは行わない
こんな症状に心当たりはありませんか?
□指の第1関節に痛みや腫れ、変形がある
□指先に力が入りにくく、物をつかみにくい
□指の第1関節に水ぶくれのようなふくらみがある
⇒へバーデン結節の可能性があります
□洋服のボタンをかけるとき、親指の付け根付近が痛む
□瓶のふたを開けるとき、親指の付け根付近が痛む
□手首の親指の付け根付近がふくらんでいる
⇒母指CM関節症の可能性があります
□曲げた指を伸ばそうとすると引っかかる
□手のひら側の指の付け根に痛みがある
□指を動かすと、ばねのようにカクカクとした動きがみられる
⇒ばね指の可能性があります
□ 親指から薬指にかけてしびれや痛みがある
□夜間や早朝に症状が強くなる
□洋服のボタンの留め外しがうまくできない
⇒手根管症候群の可能性があります
エクササイズを習慣化
手指の負担を減らす工夫も
手指のトラブルには、大きく分けて、痛みを招く変形性関節症や腱鞘炎と、しびれを伴う手根管(しゅこんかん)症候群があります。
変形性関節症の代表的なものは、へバーデン結節や母指CM関節症。
腱鞘炎では、ばね指がよく知られています。
「1分指ストレッチ」は、続けることで悪化の予防や症状の改善に役立つと池口先生。
「適度に手指を動かすことで筋力を強めて関節の可動域を広げ、関節の衰えを防ぐとともに、柔軟性を高める効果が期待できます。また、手指の血流が活発になり、痛みや腫れなどの症状も改善しやすく。痛みの出ない範囲で行ってください」
日常生活では、手指の負担を減らすことも重要です。
「例えば、タオルを絞るときには指先でなく手のひら全体で行うなど、なるべく大きな関節を使い、指先の小さな負担を減らす意識を。手指を温めるのもいいでしょう」
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/ノグチユミコ