誰かの言葉にすぐ反応。SNS、ツイッター、ネット記事に常に反応......毎日、ムダな「反応」をしていませんか? すべての「苦しみ」は、自分が「反応する」ことから始まっています。それを理解することが、悩みを解決する第一歩です。
本書『反応しない練習』で、ブッダの超・合理的な考え方を学び、あなたも"反応しない練習"を始めてみましょう。今回はその13回目です。
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三大煩悩――実は超便利な「ツール」だった?
ここまで紹介したブッダの考え方をまとめると、「反応する前に、まず理解する」ということになります。
〇悩みの原因は、"心の反応"である。
〇"心の反応"の背景には"求める心"や"七つの欲求"(特に承認欲)がある。
〇心の状態をよく理解するには――(1)言葉で確認する、(2)感覚を意識する、(3)貪欲・怒り・妄想の三つに分類する。
こうした理解によって、苦しみを作り出しているムダな反応を解消していくのです。人がなぜいつまでも悩みを抜けられないかといえば、「自分の心が見えない」からです。たとえば、あなたが心に「モヤモヤ」を抱えているとします。もし「心の状態を見る」という発想を知らないと、その霧が晴れない状態はいつまでも続きます。
そこでブッダに倣(なら)って、心に「貪欲」「怒り」「妄想」の、どれが存在するのか、観察してみます。「欲が働いている」「怒りを感じている」「これは妄想である」という具合です(たいてい三つともあったりします)。
それだけでも「モヤモヤ」は晴れていったりします。そのときあなたが実践しているのが、本来の仏教―「心を浄化する修行」なのです。ちなみに「貪欲」「怒り」「妄想」は、伝統的には、貪(とん)・瞋(じん)・癡(ち) の「三毒(さんどく)」と呼ばれ、「人間の三大煩悩」とされています。
今に伝わる仏教は、こうした煩悩を「戒(いまし)めなさい」と説きます。しかしブッダが生きていた当時、これらは「心の状態を理解するためのツール(方法)」だったのです。
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僧侶、興道の里代表。1969年、奈良県生まれ。中学中退後、16歳で家出・上京。放浪ののち、大検(高認)を経て東大法学部卒業。現在、インドで仏教徒とともに社会改善NGOと幼稚園を運営するほか、日本では宗派に属さず、実用的な仏教の「本質」を、仕事や人間関係、生き方全般にわたって伝える活動をしている。著書に『悩んで動けない人が一歩踏み出せる方法』(WAVE出版)、『独学でも東大に行けた超合理的勉強法』(サンマーク出版)、『消したくても消えない「雑念」がスーッと消える本』(大和出版)がある。
(草薙龍瞬/ KADOKAWA)
すべての「苦しみ」は、自分が「反応する」ことから始まっています。それを理解することが、悩みを解決する第一歩です。その事実と、具体的な方法論を教えてくれるのは、2500年前の悟った人、ブッダ(原始仏教)。本書では、原始仏典を紐解きながら、現代人の人生に活かせる合理的な考え方を紹介します。