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「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか?
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。
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前の記事「50~60代になると社交的になる女性、"枯れて"いく男性/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(13)」はこちら。
性ホルモンと脳の健康の関係
性ホルモンは、生殖器官から分泌されるホルモンですから、生殖に関する意欲と関係します。日本は諸外国と比べてセックスをあまりしないと言われており、セックスレスになっているカップルも多いということがさまざまな統計で明らかになっています。
40代、50代になると、健康のためか肉類をあまり食べなくなっていくので、男性は性的な意欲が減退していきます。問題は、性的な意欲だけでなく、社会的な意欲もなくなることです。仕事の面や人づきあいの面で意欲の低下が起こり、何事にもめんどくさいという意識が先に立ってしまい、消極的であるばかりか、無気力になっていくことさえあります。これは充実した人生を歩むうえであまり望ましいことではありません。
性ホルモンを重視するといいことがあります。
歳をとると、男女ともに男性ホルモンが多い人のほうが動脈硬化が起こりにくいことがわかっています。また、女性は女性ホルモンが多いほうが骨粗鬆症になりにくいということがわかっています。
総じて言えることは、男性も女性も同じですが、歳をとったときに自分の性ホルモンが高い人のほうが認知機能が高いといわれているのです。男性なら男性ホルモン、女性なら女性ホルモンが高い人のほうが、老化による知的水準の低下が起こりにくいということなのです。
高齢化によって、現代人の年齢は明治期の7掛けに相当すると言われています。つまり、現代の40歳は昔の28歳、50歳は35歳、60歳は42歳、70歳は49歳というわけです。ですから、昔は「老いらくの恋」と白眼視された高齢者の恋愛も現代人にとっては「中年の恋」なのですから、元気な高齢者が恋愛したくなるのも当然といえば当然です。
日本ではセックスを「子づくりのためだけの行為」「ふしだらな行為」と見る向きも依然としてあるのですが、カップルのコミュニケーションの一つとしてとらえれば、歳をとってからのセックスも人生を充実させるひとつの要素ということができます。
性ホルモンの働きがよい人は、性的な意欲も高いだろうし、そうした人は脳の働きもよいと考えられます。
次の記事「高血圧=脳卒中という考え方に縛られている日本人/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(15)」はこちら。
和田秀樹(わだ・ひでき)
1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。
『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』
(和田秀樹/KADOKAWA)感情の不調は"脳"で治す! 医師にしてベストセラー作家が教える、誰でもできる習慣術。「笑い」を解放することが前頭葉を刺激する、「"こだわり"にこだわらない」がポイント、競輪競馬やゴルフ、マラソンの向上心は脳にいいなど、脳科学や心理学の知見によって得られた「効果のある」「実践的な方法」を一挙に紹介!