「高血圧=脳卒中」という考え方に縛られている日本人/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(15)

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「すぐにイライラしてしまう」「なんとなくモヤモヤする」...そんな「負の感情」との付き合い方に悩んでいませんか? 
年齢を重ねれば誰もが感情のコントロールが難しくなるもの。「負の感情」をコントロールし、スッキリ生き生きと生きるために、脳科学や心理学の知見によって得られた効果のある実践的な方法を、書籍『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』から学んでいきましょう。

前の記事「性ホルモンの働きがよい人は脳の働きもよい/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(14)」はこちら。

前頭葉機能が落ちると脳の柔軟性が失われていく

日本人は身体にまつわる情報のアップデートがあまりうまくできていないようです。
これは日本人がもともと保守的だからなのかもしれませんが、発想の転換というか、考え方に柔軟性がなく、一度身に付いた考え方をなかなか手放そうとしません。ほとんどの日本人は、保守医学というか、旧来の説に従った健康管理をしています。

かつて、1950年代から60年代にかけては、血圧が160くらいの人が脳卒中で多く亡くなったり、半身不随になったりしていました。
ところが、今は160で血管が切れる人は少なくなっています。もちろん、動脈瘤があればくも膜下出血が起こり得ますから話は別ですが、そうでない場合は高血圧= 脳卒中と直接的には結び付けにくくなっているのです。なぜなら、昔と比べてたんぱく質をしっかり摂るようになったため血管が丈夫になり、破れにくくなったからです。ですから、昔ほど血圧に神経質になることはないのです。もちろん、長期間高血圧を放置していれば、動脈硬化の問題は残りますが。

コレステロールについてもそうです。
血中コレステロール値が高いと心筋梗塞のリスクが増えることがわかっていますが、どの程度が「高い」のか諸説あります。現在は、かつて言われていた数値よりも高くても問題ないとか、コレステロール値の高い人のほうが死亡率が低いことも明らかにされています。

現在では、薬に頼りすぎるのはいけない、やや太めの人のほうが長生きしている、あるいは、がんも無理に手術する必要はないといった考え方が出てきています。もちろん、そうした新説のすべてが正しいとは限りませんが、新しい研究結果から導き出された正しい説があるのも確かです。一般にこれらの説には統計的な裏付けがあるものが多いのです。

少なくとも旧来の説が絶対正しいと信じて疑わないよりは、他の説も検討してみることができるほうがまだ脳が若いといえると思います。前頭葉機能が落ちてくると、新しい考え方を受け入れ難くなるのです。

 

次の記事「脳の柔軟性が失われると自説と違う意見に耳を貸さなくなる/「感情に振りまわされない人」の脳の使い方(16)」はこちら。

和田秀樹(わだ・ひでき) 

1960年、大阪府生まれ。精神科医。1985年、東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て独立。エグゼクティブ・カウンセリングを主とする「和田秀樹こころと体のクリニック」を設立し、院長に就任。国際医療福祉大学大学院教授、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)、川崎幸病院精神科顧問。老年精神医学、精神分析学(とくに自己心理学)、集団精神療法学を専門とする。著書に『感情的にならない本』(新講社)ほか多数。

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『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』

(和田秀樹/KADOKAWA)

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この記事は書籍 『「感情に振りまわされない人」の脳の使い方』からの抜粋です
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