コロナ禍のおうち生活で足腰が弱くなったから? ひざや腰の痛みの原因は「運動不足と姿勢の悪さ」

コロナ禍の影響で、外出を控えておうち中心の生活になり、運動不足に陥ってはいませんか。実際に、筋肉の衰えなどを理由に腰痛やひざ痛を訴える人が増えているようです。今回は、清水整形外科クリニック院長の清水伸一(しみず・しんいち)先生に、「ひざや腰の痛みの原因」についてお聞きしました。

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スタスタ歩けて快適

歩くときは
・背すじを伸ばす
・大きめに腕を振る
・視線を上げる
を心がけて

ひざや腰の痛みの原因は運動不足と姿勢の悪さ

「コロナ禍により、これまでとは異なるおうち生活になったことで足腰が弱くなり、腰痛やひざ痛を訴える方が増えています」と、清水伸一先生。

痛みの原因は、加齢や肥満の他、運動不足によって筋肉が衰える、家事や趣味の手仕事など、前かがみの姿勢での作業を長く続けることで、体の重心がズレて姿勢が悪くなる、といったことが考えられます。

「痛みを薬で何とかしようとする方も多いですが、いったん良くなったとしても、原因は運動不足や姿勢の異常なので、根本的な解決策にはなりません。筋肉は使わないと衰えますが、何歳からでも増やせます。簡単な体操と運動で筋肉の質と量を高めれば、痛みの原因を断ち切ることができます」

ひざや腰の痛み改善には、まずはこり固まった筋肉を緩める体操をします。

その後、筋力を強くする運動を行ってください。

痛みがある人は、無理せず行って少しずつ回数を増やしてください。

▼マスクをしていてもそうでなくても時々、空を見上げて大きく深呼吸を。

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気持ちいい

ひざ痛 原因は?
筋力の低下とひざ関節の老化

ひざの関節
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加齢で軟骨がすり減って半月板と軟骨の形が合わなくなると、半月板が傷ついていきます。また、関節包の膜の内側に炎症が起こると半月板が硬くなり、痛みを引き起こすようになります。

ひざを支える筋肉

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【解決法】ひざ周りの関節を緩めて、ひざを支える筋力をつける!

痛みを引き起こす原因は"動かない生活"にあり!

「コロナ禍によって多くなったひざ痛は、一般的な加齢によるもの(上記参照)とは少し異なり、運動不足による関節内への負担が大きな一因です」と、清水先生。

運動不足によって大腿四頭筋やハムストリングといった太ももの筋力が低下すると、ひざを支える力が衰えます。

また、動かないことでひざの関節が硬くなり、関節内に余分な圧がかかって軟骨や半月板に負担をかけることで、半月板が傷つき、痛みが生じるようにも。

「最も大切なのは、ひざ関節をほぐして、ひざを支える筋力をつけること。肥満の方はやせてひざへの負担を減らすことも必要です」

腰痛 原因は?
体の重心のズレと筋力の低下

全部、体の重心がズレる原因です

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【解決法】筋力をつけて、体のバランスを良くする

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気持ちよい伸び縮みで体を正しい位置に戻す

腰痛の原因は、体の重心のズレにある、と清水先生。

「前かがみの姿勢でいる時間が長いと、背骨は常に縮んだ状態になり、体のバランスが崩れてしまいます。ですから、気付いたら体を伸ばして本来の体の動きを取り戻すよう努めてください」。

背骨が縮まった状態が続くと、腰に負担がかかって腰が縮み、腰痛になるだけでなく、猫背や首曲がりにもつながります。

すると、肺の機能は低下し、全身の血流も悪くなります。

その結果、さまざまな不調を招くことも。

「腰痛は放置すると悪化します。加えて、腰が痛いからと動かない生活をしていると、下肢の筋力が低下。つまずきやすくなったり、ふらついたり、うまく歩けなくなることも。腰痛を改善して、自分の足でしっかり歩くためには、日常生活を通じて体を動かし、ズレを修復して筋力をアップすることが大切です」(清水先生)

早速、「伸ばす」「縮める」を意識して体を動かしてみましょう。

【次回】ひざ関節の筋力をつけて元気に歩く! ほぐして緩める「タオルトレーニング」と仕上げの「すもう体操」

【まとめ読み】特集「ひざ痛、腰痛を治して元気に歩く!」記事リスト

取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) 撮影/西山輝彦 イラスト/鈴木あり モデル/中里恭子

 

<教えてくれた人>
清水整形外科クリニック院長
清水伸一(しみず・しんいち)先生
埼玉医科大学卒業。茨城県立中央病院、東京都社会保険中央総合病院、埼玉医科大学総合医療センターなどを経て、同センター整形外科医局長、講師を歴任。2006年より現職。日本整形外科学会専門医。

この記事は『毎日が発見』2021年6月号に掲載の情報です。
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