うつ病を治すために必要な3つの療法 /"うつ"を寄せ付けない習慣(2)

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症状の程度に応じて治療法を組み合わせる

うつ病を発症するメカニズムは、まだはっきりとは解明されていませんが、脳内の物質が関係している可能性があるとされています。脳の中には無数の神経細胞があり、神経伝達物質がそれぞれの神経細胞の間を移動することで、情報を伝え合っています。うつ病は、気分や感情を情報として伝える神経伝達物質が、何らかの原因で減少することが関係して発症すると考えられています。まずはかかりつけ医に相談しましょう。

場合によっては、専門の医療機関にかかることをおすすめします。専門の医療機関は、日本老年精神医学会のホームページで、高齢者の心の病と認知症に関する専門医や医療機関を検索することができます。

前の記事「65歳以上の10人に1人はうつ病を発症!? /"うつ"を寄せ付けない習慣(1)」はこちら。

 

治療の必要なのは3つの柱

治療の基本となるのは、生活療法、精神療法、薬物療法の三つ。これらの治療法を組み合わせることで、症状の改善が期待できます。うつ病は、症状の程度に応じて、軽症、中等症、重症の三つに大きく分けられます。日常生活に生じる支障が少ない軽症の場合は、生活療法と精神療法が中心。日常生活に支障を来す中等症や、著しく支障を来す重症の場合は、生活療法と精神療法に加えて、薬物療法も行っていきます。

「うつ病を発症して間もない急性期は、一般的に2~3カ月程度。この時期は、無理をせず、十分な睡眠を取り、安静にすることが大切です。治療中は、早く治そうといった焦りは禁物です」(野村先生)

薬では症状が改善しないほど重症度が高い場合や、薬が使用できない場合などは、全身麻酔の上、脳に電流による刺激を与えて、精神症状を改善する電気けいれん療法など、他の治療法が検討されることもあります。

 

1.本来のリズムを取り戻す...生活療法

<対象・目的>
●全てのうつ病の人が対象です。
●日常生活を整えることで、心の状態を改善する。

<日常生活での対処法>
●まずは十分な睡眠時間を確保し、安静に過ごしす。
●症状が落ち着いたら、食生活の見直しや、適度に体を動かすために運動に取り組む。

<注意点>
●発症してすぐは無理をせず、安静にすることが大切。

 

2.ストレスを和らげる...精神療法

<対象・目的>
●基本的には全てのうつ病の人が対象。症状の程度に応じて行う治療法の種類が選択される。
●医師などの指導のもとで、憂鬱や不安などの心の症状を改善する。

<治療の種類>
●代表的な治療法として、心理教育・カウンセリング・認知行動療法がある。

<注意点>
●認知行動療法は、中等症や重症の人が対象。

 

3.脳の機能的な不調を改善...薬物療法

<対象・目的>
●中等症や重症の人が対象。
●薬を使ってつらい症状の改善を図る。

<薬の種類>
●抗うつ薬を中心に用います。
●不眠が強い場合は睡眠薬を、不安やイライラが強い場合は抗不安薬を短期間に限って併用することもある。

<注意点>
●抗うつ薬は、副作用の現れ方に注意が必要。
●持病の治療などで使用している薬がある場合は、併用可能な抗うつ薬が選択される。
●睡眠薬や抗不安薬は、依存性があるため長期の使用は避ける。

取材・文/宍戸幸夫、山口幸子 

 

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<教えてくれた人>
野村総一郎(のむら・そういちろう)先生
六番町メンタルクリニック所長、一般社団法人日本うつ病センター副理事長。慶應義塾大学医学部卒業。専門は精神科学、特にうつ病の診断・治療。カウンセリングや認知行動療法を中心とした治療に力を入れている。
この記事は『毎日が発見』2017年11月号に掲載の情報です。

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