老化防止にも!おひたしなどで色と食感を楽しめる「食用菊」の魅力

秋が深まり、美しい菊が見られる季節になりました。主に観賞することが多い菊ですが、実は食用としても広く知られていることをご存知ですか? 中国などでは延命長寿の薬としても長く珍重されてきたそうです。その食用菊の品種や効能について、山形大学農学部の小笠原宣好先生に教えてもらいました。

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観賞用を改良した食用菊。解毒作用などがあります

「日本では、江戸時代の文献に食用を表す記述があります。昔は各地で乾燥させて冬の貯蔵食にしたり、酢漬けで食べたりしていたようです」と、山形大学農学部の小笠原宣好先生。

現在は山形県、青森県、新潟県などで盛んに栽培されています。

食用菊は刺身のツマとして添えられる「つま菊」とは別のもので、花びらそのものを食べる菊です。その種類は数十種にも及ぶそうです。

「6〜8月に収穫される夏菊、10月上旬~11月中旬以降に収穫される秋菊に大きく分けられます。黄色い『阿房宮(あぼうきゅう)』『寿(ことぶき)』、紫色の『もってのほか』などが代表的な品種です」(小笠原先生) 

食用菊には、体にいい栄養素も多く詰まっています。

主なものは、目に良いといわれるビタミンB1をはじめ、血行を促すビタミンE、血圧を下げる効果を持つカリウム、疲労回復作用があるアミノ酸など。

また、クロロゲン酸とイソクロロゲン酸という成分には、発ガン予防効果や悪玉コレステロールを抑制する効果などがあるという研究が発表されているほか、紫色の食用菊には老化の原因を除く色素アントシアニンも含まれているとされ、生活習慣病などの予防にも効果が期待されています。

シャキシャキとした食感と、ほのかな苦味が料理にアクセントを添えてくれる食用菊。さっとゆでるほか、生でサラダなどにして食べるのもおすすめです。

食用菊の主な種類

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阿房宮(あぼうきゅう)

1911p007_02.jpg青森県。
青森県の代表品種。蒸した花びらを平らに干した「菊海苔」が有名。10月中旬~下旬。

寿(ことぶき)

1911p007_03.jpg山形県
黄菊を代表する品種。甘味があり、苦味が少ないのが特徴。8月上旬~10月上旬。

もってのほか

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山形県
美しい紅紫色。歯ごたえ、香りが良く、「食用菊の王様」とも。10月下旬~11月中旬。

かきのもと

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新潟県
苦味やクセが少ない紅紫色の品種。濃色系、淡色系など数種あり。10月下旬~11月中旬。

食用菊の主な効能

老化防止

食用菊には抗酸化作用があるといわれています。フラボン類が、体内に発生して老化の原因となる活性酸素を抑制する働きを持つほか、ビタミンB1、ビタミンE、アミノ酸などが肌の健康を保ちます。

解毒作用

ポーラ研究所が、菊花中の成分が、生体内の解毒物質であり、毒物などを細胞外に排出する「グルタチオン」の産生を高める発見を発表しています。また、菊花茶にも解毒作用があるとされています。

リラックス効果

精油を含み、上品でさわやかな香りが気持ちを落ち着かせてくれるほか、食欲増進効果も見られます。菊花茶にも神経を鎮める鎮静作用があり、不眠症や疲労の回復にも良いとされています。

眼精疲労回復

ビタミンB1が視神経の機能を活性化。目の疲れやかすみ目の解消などを助けます。眼精疲労に伴う頭痛の改善にも。漢方の本場である中国では、「目の疲れには菊花茶が定番」ともいわれています。

整腸作用

食用菊には食物繊維も含まれています。腸内の善玉菌を増やして便通を促し、腸内環境を整えてくれます。ただし、菊花茶は、体の熱を冷ます作用があるので、下痢の際の飲用には注意しましょう。

抗うつ作用

「もってのほか」(上記)には、フラボノイドの一つ「ルテオリン」が含まれています。脳神経細胞の保護効果が着目されており、うつ病や認知機能低下の予防・改善に役立てる研究が進められています。

小笠原先生おすすめ! 美しい色と食感を楽しみましょう

おひたし

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「山形県では最も一般的な食べ方。さっとゆでて、酢じょうゆなどで。ゆでるときに酢を入れると色鮮やかになります」

あえもの

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「ゆでた菊をごまなどであえます。白あえ、くるみあえ、ずんだあえなどもおすすめ。マヨネーズあえもおいしいですよ」

さらさ寄せ

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「寒天寄せのことで、山形県ではよく見ます。しょうゆやみりんで調味しただし汁に菊の花びらを入れ、冷やし固めます」

「第36 回 日本菊花全国大会」でさまざまな菊を見られます

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全国の菊作り名人が一堂に会し、菊作り日本一を決める祭典が今年も開催。三本立花壇、切り花・ダルマ、盆栽花壇など9部門が設けられ、約30万本が美しく咲き誇る様子は圧巻です。
日にち:11月23日(祝・土)まで 
料金:入場無料 
会場:国華園・和泉本店 
住所:大阪府和泉市善正町10 
電話:0725-92-1010(日本菊花会事務局)

取材・文/岡田知子(BLOOM) 写真/PIXTA、山形県村山総合支庁 産業経済部 地域産業経済課(さらさ寄せ) 参考文献(主な効能)/『食材健康大事典-502品目1590種まいにちを楽しむ』(時事通信出版局)、『知識ゼロからの健康茶入門』(幻冬舎)

 

<教えてくれた人>

小笠原宣好(おがさわら・のぶよし)先生

山形大学農学部アグリサイエンスコース 准教授。1988年、京都大学農学部卒業。宿根性花きの生理生態を専門に研究し、山形大学、山形県園芸試験場、新潟県園芸研究センターの共同事業による『食用菊大図鑑』を作成。

この記事は『毎日が発見』2019年11月号に掲載の情報です。

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