ご存知でしょうか? 2019年3月より、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、「患者副作用報告」を正式に受け付け開始しています。
これは、厚生労働省が定める「患者からの医薬品副作用報告」実施要領に基づいたもの。医療機関で医師が処方した薬のほか、薬局等で購入できる市販薬も含めた全ての薬(国内で製造販売されている医療用医薬品、要指導医薬品及び一般用医薬品)が対象です。どのような目的で、どのようにすればよいのでしょう?
患者の声を直接収集。郵送でも可能に
薬の副作用情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が収集し、データベース化しています。製薬企業や医療関係者には、副作用が発現したと疑われる場合、PMDAに報告義務があり、情報は厚生労働省も共有。
3月末からは、製薬企業や医療関係者からの報告に加え、患者本人またはその家族からの情報も収集。PMDAのホームページから、もしくは郵送で副作用情報を報告します。報告された情報は、PMDAで内容を確認するとともに、個人情報に配慮した上で管理しつつデータベースに入力し、厚生労働省と共有。必要に応じ医療機関に副作用の状況等を確認する調査を行います。収集した情報は、薬の添付文書の改訂などの安全対策措置を検討する際の情報の一つとして活用されます。
「患者副作用報告は、患者の方またはその家族から直接副作用情報を集め、医薬品の安全対策に活用するのが目的です。販売開始前に医薬品の全ての副作用を把握することは難しいため、患者の皆さまからの副作用情報が、医薬品の安全対策に役立つと考えています」と、PMDAの見田 活(みった いく)さん。報告された症例は、個人が特定されない形でホームページ上に公表しています。
2017年度までに試行的に患者から集められた副作用報告は計717件。種類別では、医療用医薬品ではワクチンや精神神経用剤など、市販薬では鎮痛薬やかぜ薬などの報告が多く見られました。症状別では頭痛、倦怠感、めまいなどが報告されています。なお、患者副作用報告では「副作用かどうか知りたい」などの相談は受け付けていません。医薬品の相談については専門の窓口(PMDAくすり相談窓口/電話:03-3506-9457)に連絡しましょう。
●もしかして「薬の副作用かな?」と感じたら
1.まずは医療機関に相談する
薬の副作用が疑われる場合は、医療機関に相談しましょう。市販薬の場合は、購入した薬
局の薬剤師に相談してもいいです。
2.医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、副作用と思われる症状を報告する
郵送で報告する場合は、PMDAの郵送による患者副作用報告のサイト(http://www.pmda.go.jp/safety/reports/patients/0025.html)から報告様式をダウンロードするか、患者副作用報告様式請求窓口(電話:03-3506-9546)に電話で報告様式を請求し必要事項を記入して報告します。PMDAのホームページから報告する場合は、PMDAの患者副作用報告のサイト(https://www.pmda.go.jp/safety/reports/patients/0024.html)から、必要事項を入力して報告します。
●どんなことを報告するの?
1.報告者について
報告を記入する人の氏名や住所などを記入します。
2.患者について
副作用が疑われる患者の年齢、性別や、副作用が現れた時にかかっていた病気などを記入します。
3.副作用を引き起こしたと疑われる薬について
副作用を引き起こしたと疑われる薬の名称や使用目的などを記入します。
4.副作用について
どのような症状が起こったか、副作用が現れた時期、副作用の治療の有無、副作用の症状はどうなったかなどを記入。
5.詳しい情報を聞くことができる医療機関について
副作用情報の分析や評価を行うため、さらに詳細な情報を聞くことができる医療機関の有無と、「あり」の場合は患者の氏名、医療機関の名称、住所などを記入。
取材・文=笑(寳田真由美)