便の出が悪い。出ても細くてスッキリしない。これは病気の兆候?/高谷典秀先生「なんでも健康相談」

「病院に行くべきかどうか...」悩むレベルの"困った症状"、いろいろありますよね。
今回寄せられたのは、便の出が悪いという60代男性のお悩み。医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生がお答えします。

  

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便の出が悪く病気の兆候?

62歳の男性です。便の出方について教えてください。

最近、便秘とまではいかないのですが、便が出にくくて、トイレに時間が掛かるようになりました。長くトイレに座って、やっと出たときには、便が細く、柔らかめで、すっきりとした感じがしません。

以前はこのようなことはありませんでしたが、今年の春に健康診断を受けた際に、高脂血症と判定されました。肉類中心の食生活が良く無かったのでしょうか。何かの病気の前兆なのか、それとも体質が変わっただけなのでしょうか、教えてください。

 

まず大腸検査を。生活習慣を改善しましょう

便の出方について、何かの病気の前兆ではないかと心配されてのご質問です。便が出にくく、出たとしても細く、柔らかめとのことですが、ご高齢になると、そのぶん神経の働きなども悪くなります。結果、多くの方が、腸のぜん動運動が鈍くなって、これまで便秘などしたことが無いという人でも、便の出が悪くなるなど、体質が変わることがあります。一番考えられるのが、この加齢に伴う腸の働きの低下によるものなのです。

腸の働きを良くするには、生活習慣の改善が必要です。まず食生活についてですが、お手紙にありますように、肉類中心の食生活は良くありません。野菜も十分にとり、食物繊維の摂取量を増やして便通を良くします。

また、運動習慣も非常に重要です。歩いたり、体を動かしたりすることで、お腹の動きも良くなって、便の出がスムーズになりますので、ぜひ実践してみてください。

ただし、心配しなければならない病気として大腸がんがあげられます。

大腸がんがあると、大腸内の便の通り道が細くなり、便が出にくくなったり、便も細くなったりすることがあります。そのまま進行してしまうと、腸閉塞になり、全く便が出なくなってしまったり、お腹が腫れてきて気持ち悪くなったり、嘔吐、腹痛を起こしたりもします。そのような症状がある場合には、一刻も早く検査をしなければなりません。

また、そこまでの症状がないとしても、便が細いということが気になりますので、一度大腸内視鏡などの検査を受けることをおすすめします。とくに、便の中に血液が混じっているようなことがあれば要注意ですので、日頃からチェックをしてみてください。

このように、大腸内視鏡などによる大腸の検査を行い、明らかな病気が無いようでしたら生活習慣の改善につとめることが肝要だと思います。(老友新聞社)

 

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

 

<教えてくれた人>
高谷典秀(たかや・のりひで)先生

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

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