がんと診断された患者が5年後にどれくらい生存しているか。国立がん研究センターは今年9月、「がんの5年生存率」について初めて施設別病期別に胃、大腸、肝臓、肺、乳房の5部位について集計値を公表しました。
がん生存率値は「患者数による誤差」「平均年齢」「がん以外の病気の有無」など、個々の患者の状態により大きな差が出ます。そのため"生存率が高い施設ほど治療成績が良い"と単純に優劣はつけられません。
「今回のデータでは現状を知ってもらうことが第一。こうした情報公開を通し、各病院で医療の見直しに役立てて欲しい」と、同センターの奥山絢子さん。同センターがん情報サービスのホームページ(※)では、230施設の個別データを公開。
データを知り、治療方針や病院選びの手がかりに
「数値もさることながら、生存率に関する各施設のコメントを必ず読んでください」と、奥山さん。まずは施設の特徴を知ることが重要です。例えば、同じ病期でも、年齢が高ければ他の疾患を抱え手術が出来ないこともあれば、がん以外の理由で5年以内に亡くなることも。こうした場合は、必然的に生存率は低くなる傾向があります。また、5年生存率は大勢の患者情報を集計した平均的な数値であり、個々の患者の生存を個別に予測するものではありません。
自分で調べるのが難しい場合、「都道府県がん診療連携拠点病院」の相談支援センターで「どの部位の、どの年齢層について診療している施設を知りたいか」を伝えて相談してみましょう。
施設・病期別の5年生存率(胃がん)
取材・文=笑(寳田真由美)