『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』 (心理カウンセラーmasa/KADOKAWA)第5回【全8回】
「なんだか生きづらい」「いつも同じようなことで悩んでしまう」と感じることはありませんか? もしかしたら、その原因は幼い頃の記憶にあるのかもしれません。書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』(KADOKAWA)は、過去の経験、特に幼少期の記憶が、今のあなたの感情や行動に深く影響を与えていることを優しく解説します。「あの頃の小さな私」が抱えていた悲しみや不安、満たされなかった気持ちに気づき、理解することで、長年の心の痛みが少しずつ癒されていくはずです。より穏やかで自分らしい生き方を手に入れるためのヒントが詰まったこの本の中から、ありのままの自分を受け入れるための方法をご紹介します。
※本記事は心理カウンセラーmasa著の書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』から一部抜粋・編集しました。
生まれつきの性格? リトル・ミーの影響?
子どもの心はとてもデリケートで傷つきやすいもの。
傷つける意図のないまま大人が言うちょっとした否定的な言葉や小ばかにした態度、子どもを低く評価したり無視したりする行為なども、それが原因で、子どもはショックを受けたり不安を抱えたりします。
そしてリトル・ミーは、また同じような傷を負いたくはないと怯えて、人生にさまざまなブレーキをかけます。
たとえば、ちょっとした言い間違いを親に笑われた経験から、大人になっても人前で話すのが苦手になった。
「女の子なんだから、おとなしくして」と言われていたから、自分の意見を口にするのはいけないことだと思うようになるなど、さまざまなケースが考えられるでしょう。
また、親は「わがままに育たないように」といった子どもを思う気持ちから、
「お姉ちゃん(お兄ちゃん)なんだから、がまんして」
「生意気なことを言うな」
「そんなことくらいで泣かないの」
などと、ありのままの感情や欲求などを抑え込むように言うことがあります。でもこれも、幼い心を萎縮させ、自信を失わせることにつながります。つまり、もしかしたら 「これが自分のもともとの性格」と思い込んでいる態度や姿勢なども、原因をたどればリトル・ミーであることも少なくないと言えるのです。
幸子も、大和とのセッションで、まだ幼かったころの自分はまわりから「なんでもハッキリ言う子」と言われるほど、自分の感情を表すタイプだったことを思い出します。
幸子は、妹が生まれてから、何かにつけ「お姉ちゃんなんだから」と言われて、長女らしい振る舞いを期待されるようになりました。
そして、決定的だったのが、隠していた38点のテストが母に見つかり「お母さん、がっかりだわ。もう幸子のこと信用できない!」と言われたときです。
それ以来、幸子は、母に嫌われないよう「お姉ちゃんらしく」、たくさんのことをがまんして、自分の感情も抑え込むようになったのです。
大事なところで、いつもためらって前に進めない。
勇気が出ない、優柔不断、やる気が続かないなど、「変えたいのに、変えられない」、自分はなんでこんな性格なんだろうと悩んでいる方はたくさんいます。そして、自分の性格が悪いせいで人生がうまくいかないのだと、半ばあきらめてしまう。
でも、少し考えてみてください。あなたが自分の性格に悩むようになったのはいつからでしょうか?
どこかで悩み始めた"切り替わりのタイミング"があったはずです。
生まれつきネガティブ思考だったり、生まれたときから「自分はなんて、ダメなんだろう」と自分の性格に悩んで自分を責めたりする人はいません。
「どうせ、自分なんて......」と考えて、ハイハイするのをやめる赤ちゃんはいないですよね。人は全員、生まれたときは前向きな生き物なのです。
ここで私が言いたいのは、自分の性格で悩む人の多くは、生まれつきではなく、成長する過程のどこかで、そうなった理由が存在する可能性が高いということです。