『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』 (心理カウンセラーmasa/KADOKAWA)第8回【全8回】
「なんだか生きづらい」「いつも同じようなことで悩んでしまう」と感じることはありませんか? もしかしたら、その原因は幼い頃の記憶にあるのかもしれません。書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』(KADOKAWA)は、過去の経験、特に幼少期の記憶が、今のあなたの感情や行動に深く影響を与えていることを優しく解説します。「あの頃の小さな私」が抱えていた悲しみや不安、満たされなかった気持ちに気づき、理解することで、長年の心の痛みが少しずつ癒されていくはずです。より穏やかで自分らしい生き方を手に入れるためのヒントが詰まったこの本の中から、ありのままの自分を受け入れるための方法をご紹介します。
※本記事は心理カウンセラーmasa著の書籍『「小さな私」の癒し方 幼少期の記憶で人生は9割決まる』から一部抜粋・編集しました。
お母さんの膝の上は「セーフティゾーン」
子どもは、「親に愛されたい」「褒められたい」「認められたい」と考える存在です。
そして子どもは、親からの無条件の愛情を受ける経験を重ねることで、長所や欠点を含めたありのままの自分を肯定していけるようになります。
「何があっても、いつでも自分のことを受け止めてくれる存在がいる」と信じられるからこそ、未知のこと、新しいことを恐れずにチャレンジできるようになり、自分なりの人生を切り拓いていける大人になるのです。
心理学では、「お母さんの膝の上は"セーフティゾーン"」だと言われています。
生まれたばかりの赤ちゃんは、お母さんの膝の上にいるときには、安心して目新しいおもちゃを手にしたり、遊んだりします。
ところが、お母さんの目の届かないところだと、すでに知っているものしか手にしないことが多いそうです。この「お母さんの膝の上」と同じだと感じさせてくれる経験が、子どもには必要なのです。
子どもが幼いころ、母親と基本的な信頼関係を築くことができた経験、つまり「無条件に受け入れられ、愛情を注いでもらった経験」があると、母親は「安全基地」としての機能を持つのだと、アメリカの発達心理学者、メアリー・エインズワースは言っています。
安全基地(母の元)に戻ると「安心する、安らぐ、癒される」などのポジティブな感情を育むことができる。そう子どもが理解すれば、さまざまな意欲がひとりでに育ち、新しい行動をとることができるのだそうです。
多くの子どもは、抱っこや手をつなぐなどのスキンシップや、甘えさせてくれることを「愛情」だと感じます。そして、ありのままの自分を認めてくれることを、無意識に親に求めます。
一方で親になると、「親は子どもを正しく導く役目」「子どもは親の言うことに従うもの」といった価値観を持ってしまうことも珍しくなく、親としての義務を果たすことに一生懸命で、スキンシップなどを「甘やかし」と感じる人もいます。
また、親自身が過去、自分の親からそうした愛情をかけられず、しつけや理想の姿といった型にあてはめて育てられたため、どうしていいのかわからないこともあるでしょう。
よほどの例外を除けば、子どもを愛していない親はいません。
ただ、愛情の表現が子どもの求めているものと異なる、思い違いがあるなどの理由から、お互いに理解できずにすれ違っているケースが非常に多いと言えるのです。